楽園の魔女たち 薔薇の柩に眠れ

「あなたほどの術者がなぜ」
「なぜ化け物をさっさと殺さなかったかとおききですか?お若い方。わたしの師匠が興味深いことを申しておりました。過去を変えることはだれにもできない。しかし、いまという瞬間から自分自身をあたらしく築いてゆくことはできるのだ、と」
光の珠が、やわらかく、エイザードの手に吸い込まれるように消えた。
「わたしはその言葉を信じたいと思っているだけです」

楽園に送られてきた棺の中にいた吸血鬼との騒動もの。これまで以上に、家族って感じを受けるお話でした。エイザードの親ばかっぷりがたまらない。健忘症の吸血鬼のこともちゃんと考えてあげて(どこまで本気かはさておき)、さりげなく手をさしのべたエイザードに師匠の姿を思いました。魔物と人間との切ない物語にもやられる。→ 感想