セイジャの式日

「しんどいですよ、絵を描くのは」
声は微笑している。しかし表情が見えない。
「絵を一枚仕上げるたびに、絵にサインを入れるたびに、もうやめよう、これで最後にしようって、考える」
「じゃあ、なんで、やめない?」
「描いてても辛いけど、描かないともっと辛いから」

伝言ゲームをたどって行くにつれて、噂と腐乱死体が繋がっていくところは、謎解きっぽい面白さがあり、そこから見える人の心にゾクッとした。後半は由良が教育実習生になるお話しを生徒側から見たお話。目の当たりにした才能に打ちひしがれながらも、先を感じさせる言葉に、嬉しくなった。いいな、こういう生徒と先生の関係。→ 感想