神の守り人(上) 来訪編

「わたしの養父がいっていた。絶望するしかない窮地に追い込まれても、目の前が暗くなって、魂が体を離れるその瞬間まであきらめるな。力を尽くしても報われないことはあるが、あきらめてしまえば、絶対に助からないのだからってね」
その言葉よりも、バルサの落ち着いた声が、彼女のふるえをしずめてくれた。
「あんたにとって、お兄ちゃんがかけがえのない人であるように、わたしにとって、タンダは、かけがえのない人なんだ。ふたりで道を探そう」

異能を持つ少女を巡るお話。もしかしたらで殺して良しとするバルサじゃないよなあ。情に流されることはあっても、決して全てを他人任せにすることなく、責任を背負う決意で人を助けようとするふたりが好きです。バルサと共に行動することで、少しずつ人の思いを感じていく少女が最後に見せた感謝のしぐさがとても良かった。それだけに「裏切り」は……→ 感想