想い雲 ― みをつくし料理帖

「化け物稲荷に、駒繋ぎが根付いたな」別れ際、男は何気なく言った。
「あれを見ると、どういうわけだか、お前さんを思い出す」
「牡丹でも菊でもなく、駒繋ぎなのですか?」
「その花は、いかなる時も天を目指し、踏まれても、自らを諦めることがない」

すっかり忘れていましたが、もともとご寮さんと澪は、佐兵衛を探しに来たんでした。彼に繋がる人を見つけて、衝撃の事実を聞かされて。それでも信じる母の思いにじんとくる。でも一番はやっぱり太夫との話です。逢いたい、でも逢えない。それならばせめて料理をと赴き、「女が?」と低く見積もられた男共の視線を、料理の腕でだまらせる手腕はさすがでした。だからこそ逢えないと言っていた太夫が……玉響の再会に涙がじんわり。→ 感想