クシエルの使徒(1) 深紅の衣

「そうね」
小声で言うそばから、抗いがたいスリルが血管づたいにぞくぞくと駆け巡る。
「そろそろクシエルの矢を新たに投げるときが来たのよ」

ああもうゾクゾクしちゃう。本当に信頼できる人は片手にも満たない中、笑顔で会話しながら内心を探り、時にナーマー様のご奉仕でもって、心中に入り込んでいくフェードルの手腕がたまらない。でもそのためにジョスランとの間に溝が出来て……正直辛かった。集めた情報から新たな地へと向かう行動力は、さてメリザンドの影を追えるのかしら。→ 感想