銀二貫

「寒天はでしゃばらへん。せやからこそ、それぞれの旨味を、喧嘩させんと上手いこと、ここまで見事に引き出してくれるんや。旨味を引き出して、しっかりと閉じ込める。これが寒天の技なんや。ええか、お前はんの商うてるのは、こないに凄いもんなんやで」

ああ、もうグッとくる。天災によって、幾度と無く打ちのめされながらも、寒天という地味な食材の新たな道を追求していった丁稚の松吉の熱意に。彼を支えた旦那さんの思いに。恋愛要素も良かったけれど、それ以上に糸寒天に辿り着いたシーンは忘れられない。そして最後、旦那さんと番頭さんの会話に涙が止まらなかった。→ 感想