折れた竜骨

「たとえば、騎士が馬を下りた後、当然のように馬の世話をするように。修道士が鐘の音を聞き、当然に礼拝堂で祈りを捧げるように。農夫が秋を迎え、当然に実りを穫り入れるように。<強いられた心情>の犠牲者である<走狐>は、自分の役割として、己の知識と力量を生かし、当然のごとく標的を殺すのです。そしてそれを忘れてしまう」

魔術による殺人を論理で。十二世紀のイングランドを舞台にしたお話しは、本格ミステリであり、上質なファンタジーでした。読者への挑戦よろしくな展開と、導かれる結末が見事でした。いやー、ビスケットひとつがあんなに重要になるとは……。面白かったです。「折れた竜骨」がなくとも、騎士と姫様の再会や冒険を見たいと素直に思いました。→ 感想