2006-07-26から1日間の記事一覧

紅 ギロチン

「それ、おまえだろ?」 タバコを銜えたまま、紅香は言った。 「そういうことができる自分を、少しは好きになってやれよ」 「でも、こんなの、偶然で……」 「アホ」 真九郎の苦悩を、紅香はあっさり切り捨てる。 「偶然で人を救えるなんて、最高じゃないか」 …

戦う司書と神の石剣

「たしかに、あんたの言うとおりよ。ミレポックを失うことはできない。その上で、あえて言うわ。ミレポックのことはもうあきらめている」 冷徹に、ゆるぎない口調でハミュッツが言う。 「すでに状況は取り返しのつかないところまで進行している。もっと早く…

煌夜祭

煌夜祭では、世界各地の出来事や先人たちの貴重な智慧が、一夜にして語られる。死海に隔てられし十八諸島において、その物語は金に等しい。ゆえに島主は貴重な話、面白い話、役立つ話をした語り部たちに褒美を出す。 けれど、煌夜祭の真の目的は他にある。 …

寿命か

暑い。日差しがまぶしい。 「こういう日はビールがおいしいよね」などと、年中、酒を飲んでる人間がのたまうのはいかがなものかと思うけれど、そもそも酒を飲まない僕にとってはどうでもいいこと。 っていうか、日の光が強すぎて、外を歩く気もおきない。こ…