三原みつき

すいーとブラッド

わからなかった。嘘をつき、嘘を見抜く力を持って他人を救う陰陽師は、 こういうとき、どうすればいいのだろう。 魔界の人たちが皆かわいい。懐くドラキュラ娘やワーウフルにニヤニヤしつつ、思いの裏側に見える寂しさに気づいてしまうところが切ない。人の…

ごくペン!(3)

「先生がやってたことは、作家志望として恥ずかしいことじゃなかったよ。たぶんだけど。だって……」 「いつだって先生のペンは剣よりも強かったじゃねーか。そのことを誇ってくれよ」 学園旅行で津軽海峡へ。パオーンのおかげですれ違い三昧になるふたりにニ…

ごくペン!(2)

「万が一それが伝わらなかったとしても、ぼくは鈴音をバカにしたりはしない。ぼくと鈴音はいっしょに戦う仲間のままだ。ぼくも、この学園も、捨てたりはしない。この学園は、そういう場所のはずなんだ」 彼女の瞳が揺れる。返事がなくても、不安が伝わってく…

ごくペン!

「任侠を、小説にしてみようと思うんだ」 広げた原稿用紙をたたみながら、ぼくはそう告げた。 「だけど任侠がいったい何なのか、ぼくにはまだわからない。だから、きみのそばで見届けようと思う」 彼女はぽかんとした表情でぼくを見た。 「……いっしょに、い…