古龍

マーベラス・ツインズ契 (4) 貴公子の涙

「それに、いまあなたが私を愛していなくてもいいの。いつか必ず私を好きにさせてみせるから」 これに、小魚児が笑った。 「ハハハ。いいね、その自信。たしかに俺、あんたのことが少し好きになりはじめたよ」 「それくらいの好きじゃ、ぜんっぜん足りないけ…

マーベラス・ツインズ契 (3) いつわりの仮面

「だが、おまえにわかるか?大侠という、わずか二文字を保つため、どれほど多くの苦痛に耐え、どれほど多くの孤独をかみしめなければならないか……」 「いま、私にもわかりました。大侠の二文字を名乗ることが、どれほど孤独で苦しいことなのか……。その者は、…

マーベラス・ツインズ契 (2) めぐり逢い

けど、燕おじさんだって人間だ。 小魚児の心に、ふつふつと闘志のようなものが沸いてくる。燕南天にできることが、自分にできないはずがない。 この小魚児は、誰にも負けない。負けてたまるか! 十大悪人が出てきたと思ったら、まさか花無缺とこんなことにな…

マーベラス・ツインズ契 (1)だましあい

「親父が何人いようが、なにをいおうが、なりたい自分になればいいんだよ。自分の人生なんだ。好きに生きるさ」 そうだ。人は、なりたい自分に自分を変えることができる。そうやって自分の人生を歩いて行けばいい。 小魚児は、ひらりと窓枠を飛び越えて部屋…

マーベラス・ツインズ 3 双子の運命

「だからいまのところ、この天下に最強の悪人はいないってことになる……」 「延々と話してそれが結論か。くだらん!」 「いまは、まだいない。でも、もうすぐ現れるんだよ」 「いったい誰なんです?」 「いま泣いている、赤ん坊だよ」 まったくもって悪人谷に…

マーベラス・ツインズ 2 地下宮殿の秘密

「どうやらここには、まだまだ秘密がたくさんありそうだ……」 江玉郎が深いため息をついた。 「たくさんの恐ろしい秘密ですね」 「この世に、恐ろしい秘密なんてないさ」 小魚児は愉快そうに笑った。 「秘密ってのは、みんなおもしろいものばかりだよ」 小魚…

マーベラス・ツインズ 1 謎の宝の地図

「あなた、いくつなの?わたし、怖くなってきたわ。あなたが本当に子供なのか、それとも……」 「それとも化け物か?」 小魚児がにこりと笑う。そんな彼に彼女は真顔でうなずいた。 「わたし、あなたが精霊かなにかが化けたものじゃないかって思ってたの。そう…