土橋真二郎

生贄のジレンマ(下)

「もう、引き返すことはできないわ」 面白いんだけど、ちょっともやっとするものを感じる。途中までは本当に面白くて、特に四組の生き残り模様とかゾクゾクでした。ただ第二ラウンドあたりから、駆け引きが「作業」になった印象を受けたのは、個人対決と時間…

生贄のジレンマ(中)

「何を意味しているか、わかる?」 生贄の価値の下落。消えない得票。 このルールを設定した存在はこう言っている。生贄志願者が登場し続けることはない。生き残るためには別の戦略が必要だ。つまり…… 「……生贄志願ではなく、投票での生贄選出を促している」…

生贄のジレンマ(上)

「……私は、あのとき、生まれて初めて人の死を願ったわ」 誰かが死ぬことで他の人が救われるというルールのゲーム。タイムリミットが近づくにつれて、見えてくる人の想いがえぐい。しかもこれはまだ序盤だというのが見えているので……ここから更にドロドロにな…

殺戮ゲームの館(下)

扉が閉まる寸前、彼の声が通路に響いた。 「―俺は魔物じゃない」 扉が閉まり、魔物の時間が訪れた。 面白かった!誰が魔物?という言葉が疑心暗鬼になり、吐き気を催しながらも他人への疑いを止めることが出来ない。ギリギリの惨劇の連続がすごかった。心の…

殺戮ゲームの館(上)

どっと汗が噴き出た。 妙な場所に監禁し、さらにこの個室に閉じこめ、何をする気なのだ? 福永は扉を思い切り叩いたが、その衝撃は厚い扉に吸収された。 部屋に閉じこもる九人の人間と、外にいる二人の人間。 扉の外は夜が始まっていた。 ―魔物の時間帯。 命…

扉の外

「今のおまえと私の違いだな。今同じ場所にいるが、私は戦うためにここにいる。しかし、おまえはここに逃げてきただけだ」 ひよりだ。自分の感情に殉じていない結果、ずっと闇にまとわりつかれることになる。 「しばらくは、ここで過ごすしかないだろ。それ…