森田季節
「よし、良太、まず最初の命令だ」 「わたしを決してひとりぼっちにするな」 ちょっと期待とは違う方面のお話だったので、物足りなく思ったけれど、打算から付き合った相手に心が動いていく描写とかは、とても良いものがありました。→ 感想
「兄さん、覚えていて下さい。私は肉親が逃げようと言ってきたら、どこまでだって逃げますから」 「ま、覚えとくよ」 「ええ、世界すべてを敵にまわしても、私は家族を守ります」 「なんか、物騒な言葉だな」 定年等を迎えると「処理」される世界で、怪我を…
「じゃあ、『好きだ』って言ってみたら?」 桜木は自分の黒髪をもてあそびながら、人の悪い笑みを浮かべる。 「【不言法】で、二宮さんに好きだと言えない。しかも言おうとしただけで【怖愛の枷】のせいで、死にかける。あなたはもう、恋愛なんてできない体…
「『死ね』とかすぐ言う芝蘭ちゃんは、もったいないな〜」 「何がもったいないのよ?」 「かわいさがちょっと減っちゃうよ」 どうして、こいつはこういうことを平気で口にするんだろう。 「死ね」なんてお前にしか言わないわよ、バカ。 十哲たちの争いの中に…
「犯人はぼくなんかより何倍も恐ろしく無慈悲だ。素人は関わるな。これが最後の忠告だ。同僚が消えて悲しいだろうけど、ここは耐えてくれ」 「チャチャは同僚なんて間柄じゃない。あいつは」 もう、何一つはばかることはない。 「あいつは俺の恋人だ」 タマ…
「しんどい時期なんだ。ほら『彼ら』が何かやらかすって噂でしょ」 「あんな・の迷信・だって・思うけ・どな〜」 花笛ちゃんは三拍子を刻みながら話す。 「だって誰も『彼ら』を見た人はいないんでしょ?学校の七不思議みたいなもの。心配しすぎだよ、アーち…
「ねえ、どうにか逃げる方法はないの、あいつらから?」 「あるよ」 意外な言葉が返ってきた。どうせ、ムリだと思っていたのに。 「それには左女牛さんの力がいるの」 「どうしたらいいの!?」 「だから本当にどうしようもなくなったら殺してほしいの」 これ…