河野裕
「幸せの象徴だよ」 青。幸せ。偽物と本物。 「偽物の青と、本物の青を、どうやって見分けるのですか?」 老人は首を振る。 「誰かと一緒にいなさい。それだけでいい。隣にいる人が笑うことを、幸せと呼ぶんだ」 現実と差がない夢の世界で幸せは、本当の幸せ…
「それでは私は、ケイとアイスクリームを食べてきます」 「うん。あーん、ってしてあげてね」 春埼は頷く。 「わかりました」 「え、ホントにするの?」 「お見舞いとは、そういうものではないのですか?」 これは素晴らしい。どのお話も魅力あふれる描写に…
「いい事を教えてやる。浅井ケイは、間違えないんだ」 「……間違えない?」 「そう。あいつが助けようと思って、助けられない奴なんていないんだよ」 ひとりの思いを外に置き、自分から動くことの無かった春埼が、自分ルールに則って動く決意をして、そんな彼…
「ひとつだけ、質問があります」と、春埼は言った。 「ケイ。もし私の能力が岡絵里に封じられたとして。私がリセットを使えなくなったとして。私と貴方の関係性は、何か変化しますか?」 未来を見られる「魔女」の恋……といっていいかな。まったく同じやり取…
「浅井。君は生まれ変わったら、何になりたい?」 「僕は神様になりたい。いちいち人に試練を与えたりしない、人間不信じゃない神様に。お腹がすいてる人にはパンをあげて、悲しんでいる人は幸せにする。毎日、そんな仕事をして暮らしたい」 たぶんそれは人…