渡航

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(2)

「で、あなたのほうは?」 「悪い、犯人の手がかりは掴めなかった」 「……そう」 てっきり罵倒されるかと思ったが、雪ノ下は諦めたように吐息を漏らすだけだった。そして、とても憐れんだ感じの目で俺を見る。 「……誰も話を聞いてくれなかったのね」 本当に比…

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

「あなたの友達で、常に女子に人気のある人がいたらどう思う?」 「愚問だな。俺は友達がいないからそれは杞憂だ」 「……一瞬、かっこういいことを言ったのかと勘違いしたわ」 さりげないエピソードが胸に痛い!友達がいない二人が、奉仕部として、人助けして…

あやかしがたり(4)

「戦うんなら、てめぇの名前を掲げて戦え。勝利も敗北もその名で背負ってみせろ」 「黙れぇ!神という偉大な存在の前で名など矮小、何の意味も持たぬわ!」 「じゃあ、てめぇが救いたいのは誰なんだよ?衆生なんだろ?そいつらは一人一人名前を持っていて、…

あやかしがたり(3)

「いい気分だ、ぞくぞくしやがる。天下の命運を賭けた一戦にゃふさわしい」 「天下?そんなものは知らねえな。ここにいるのは俺とお前だ。世界なんかを言い訳にすんなよ。らしくねぇぜ。もっと単純に行こうぜ」 ふくろうを追うために堕ちていく。その姿は、…

あやかしがたり(2)

「あんたは受けれてるんじゃない。諦めてるんだ」 新之助はそれだけ言って背中を向ける。 「俺は戦う。運命って言葉を言い訳にしたくないんだ」 幕府という存在があやかしをどうみているかというお話しだったけれど、いろいろもったいないぐらい荒い……かな。…

あやかしがたり

「山手なんかどうでもいいに決まってんだろ。こんな陰気な土地、勝手に滅びりゃいいんだ」 新之助はつまらなそうに言う。 「でも、誰かの我侭で滅ぶのは違う。お袋みてぇになんの関係もないのに割り食う奴がいる。兄貴みてぇに必死に働いてる奴がいる。……親…