静月遠火
雪姫が消えたのは、翌日のことだった。 閉ざされたボロ屋から一ヶ月、外へ出て行けないというバイト模様を描くお話。演劇サークルの人間模様と少しずつ見えてくる歪みから……というあたりがドキドキもの。それは気づけないよというトリックなのにだまされたと…
「なぁ正臣、もしもの話なんだけどさ、その<言霊>ってやつがあるとしてさ、取り消すことってできないのか?」 「無理でしょ」 「……あっさり言うなよ」 「そうはいっても悪い言葉っていうのはほとんど呪いと同じだからね。だから昔の人はそれだけ言葉に気を…
「遠野綾、たとえば私が死んだときに、誰かが私のために泣いたとしたら、それは同情というものではないのかな」 彼女はテーブルからスプーンを取り上げ、指先でくるりと回す。 「ま、<こちら>には村瀬はいないのだし、お前はお前のやりたいようにすればよ…