高遠豹介

三井澄花と四角い悪魔

「私たちって何の会社の社員だっけ?」 「……クレジットカード、ですけど」 「『クレジット』は『信用』って意味だよ。信用取引の世界に生きる私たちが、人を信じられないでどうするのよ」 何このホワイト企業……始めてのお仕事で、ミスをすることも多いけれど…

ぷれいぶっ!(3)

「っていうか、パートナーには魔法使う以外にも大切な仕事があるんだけどなあ、朱音はそれをバッチリしてくれてるんだけどなあ」 「私が……なにか、したの?できたの?」 統吾は、隣を歩く朱音を見た。目があった。白い息が触れ合う。 「俺に勇気をくれたよ」…

ぷれいぶっ!(2)

「会長、俺、惚れてもいいですか?」 「貴様は少し黙っていろ」 軽快なやり取りが楽しく、発展しそうで肝心なところから進まない恋模様がもどかしく。そんな「ぷれい部」合宿話でしたが、まさか一番印象に残ったのが、魔王たる会長だとは……あまりのかっこよ…

ぷれいぶっ!

「よし!紅音、明道、俺らで部活作って文化祭に出ようぜ!」 「……ん?」 「……え?」 「高校のイベントっていったら文化祭なんだよ!そりゃあ客としてもそれなりに楽しめるけど、やっぱ出し物考えて参加するのが醍醐味ってもんなんだよ」 異世界からやってき…

藤堂家はカミガカリ 3

「私は恋愛などの話に疎くて申し訳ないが、これだけは言える。どのようなことになっても、決して自分の気持ちを曲げてはいけない」 少し低くてよく通る声が、まっすぐに私を貫く。 「自分の、気持ち……」 「そうだ。自分の気持ちを信じ、正直でいれば、何があ…

藤堂家はカミガカリ 2

「何だよ」 「車椅子……」 春菜は何だか妙にもじもじしながら、神一郎と車椅子を交互に見ている。 「飯できてるぞ。早く来い」 「だから……あの……」 春菜は神一郎を上目づかいに見やり、小さく唇を動かした。 「車椅子に……だっこして……乗せてください」 ツンな…

藤堂家はカミガカリ

「だとさ。良かったじゃねえか美琴」 そう神一郎が言うと、美琴は不敵な笑みと共に立ち上がった。 「ホント、良かった」 その表情は、何かが吹っ切れたように清々しかった。 「良かった、と言いますと?」 美琴はブラシを一度、地面に叩きつけた。 「あんた…