小河正岳

ウェスタディアの双星(4) うら若き女王騒乱に立つの章

「ウェスタディアの、逃げた王子………………そうか。そういう楽しみ方もあるか」 それは急速に形を成し、具体性を帯びはじめた。 「ひとつだけあったよ、先生」 「は?」 「ここにいながらにして気晴らしができる、最上の娯楽がな」 遊び半分だからこそこの程度で…

ウェスタディアの双星 3 世を忍ぶ将軍漫遊記の章

「お前には関係ないことだ。黙っていなさい」 「どうして関係ないの?わたしだってブロンジーノ家の人間よ?ラタントの住民だわ!関係なくなんかない!」 「お前には、女としての普通の幸せを―」 「海賊に占領されたラタントに、どんな幸せがあるって言うの…

ウェスタディアの双星 2 幸運の女神(?)降臨の章

「敢えて申し上げます、陛下。この際、ラミアムのことはお考えにならず、ウェスタディアで暮らす人々の幸福のみをお考えください」 「自分の国だけが幸せなら、それでよいと言うのですか?」 ルシリアの責めるような眼差しを、チェザーリは堂々と正面に受け…

ウェスタディアの双星 真逆の英雄登場の章

「あの方はウェスタディア王国を語るとき、いつも『この国の方々』とおっしゃる」 だからなんだ、と表情で問うセルウィンをちらりと見て、チェザーリは誇らしげに続けた。 「頭ではなく心でわかっておいでなのだ。国の礎が、彼ら民衆であるということを。君…

お留守バンシー 4

「鳳仙花か」 帽子から花を取り、指で摘んで眺めやる。 「イルザリア、これの花言葉を知っておるか」 「はい……私に、さわらないで……ですわ」 「もうひとつある」 ブラド卿はそっと微笑んだ。 「心をひらいて、だ」 まさかまさかの最終巻。だんだん好きになっ…

お留守バンシー 3

「友人が同窓会をやろうって言ってきたのさ。ただ、いい場所がなかなか見つからなくて困ってるらしいんだよ。そこで相談なんだが、この城を使わせてはくれないものかねぇ」 「どんな方たちなんです?これ以上、人間をこのお城に入れたくはないんですけど」 …

お留守バンシー2

「いいですか?これは子供のお遊戯じゃないんです。ひとたび幕が上がったら、もう後戻りは許されない、わたしたちの存亡を懸けた壮絶な演劇なんです!」 右手に握られたアリアのこぶしが、天に向かって勇ましく振りかざされる。 魔物であることを人間に知ら…

お留守バンシー

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