早見裕司

メイド刑事(9)

「葵ちゃん、まさか……」 「メイド刑事、若槻葵はいなくなりました」 きっぱりと葵は言った。 「ここにいるのは、かりそめにメイドの修行をしていた、元レディースの総長です。そんな奴が、ただのタイマン勝負をしに行こう、というのを止めている暇があったら…

メイド刑事(8)

「長官さんの言ったとおりね。メイド刑事は、いないと思えばいない」 裕美は微笑んだ。 「でも、いると思えば ― いるのね。必ず、助けになってくれる人が」 最終決戦一歩手前。敵側の残虐さが目立って、いい感じ。 → 感想

メイド刑事 7

「助けて……お金ならいくらでも……」 「悪党の言うことは、いつも同じだね」 葵は吐き捨てた。 「だがな、金でこの人たちの心意気は買えないんだよ。そして、メイドの心意気もな」 ミステリネタ満載な朝倉探偵物語が楽しかった。それにしてもまだ続くのか。今…

メイド刑事 6

「でも姉さんは、ひとつ忘れてることがあるって思ったんす。まちがってたらすいません」 「……何かしら」 「何も起きないのが一番いい、ってことっすよ。ちがいますか?」 ルカはあいかわらず、ふだんはあまり見せない、真剣な顔で言った。 「木ノ上をふんづ…

メイド刑事5

「悪いとは思ったが、すべて見させてもらったぞ。ルカ。お前は、まちがいなく、わしの……」 そこで、朝倉老人は、満面の笑みを浮かべた。 「この世にたったひとりの、誇りの孫だ」 まさかメイド刑事で恋物語が読めるとは!面白かったー。→ 感想

メイド刑事4

「私は、己の立場を自覚している。桜木、人の上に立つ資格などというものは、どこの誰にもない。君は自分の思想を、ひとに押しつけているだけだ。命の重さは同じ、などと私には言えない。だが、魂の大きさは誰もが同じなのだ。君が愚かとか、生きる資格がな…

メイド刑事3

「お前のことだ、ケンカのほうもやり合ったんだろう」 「それは……でも、今度は勝ってみせます」 「つまり、タイマンにも負けた、ってわけだ」 曜子はあごをあげた。 「世間の風にあおられて、足すくわれたんなら話は別さ。だがな、粋がって乗り込んだくせに…

メイド刑事2

「あの娘は、優しい娘だ。だが、心が弱かった。だから罪を重ねてしまったのだ。人を憎むのではなく、その弱さを憎むことを肝に銘じていれば、お前の任務は決して虚しいものにはならない。違うか」 葵は考えてみた。たしかにご主人様の言うとおりだ。葵が立ち…

メイド刑事

「きさま、ただのメイドじゃないな?」 「はい。誰が呼んだか存じませんが、わたくしの通り名は……」 葵は襟の飾りボタンを外し、開いてかざした。 「メイド刑事!」 「さ、桜の代紋……」 スケバン刑事のメイド版みたいな感じ → 感想

仮想世界の優しい奇跡 【amazon】

家族事巻き込まれた事故のショックで声を失った晋一郎。 幼馴染の真里香と手話で話をする以外、一切外とのつながりを持たない毎日。 そんなとき、真里香の好きな作家のホームページに妙な文章が隠されていることを晋一郎が発見した。 「また、Oに拉致された…