木地雅映子

マイナークラブハウスの恋わずらい ―minor club house Side-B

「そうして時折、中から響いてくる、楽しげな声を聞く。あの建物の中は、常に大騒ぎだ。いつでも、笑いの気配に満ちている。僕はその気配が好きだ。友人たちが遊んでいる声を聞きながら、少し離れたところで、自分の場所を守っている時が、いちばん落ち着く…

マイナークラブハウスは混戦状態 ―minor club house(3)

「謝ってはだめだ。それは君の問題じゃない」 急に厳しい口調になって、カウンセラーの先生はぴしりと遮る。 「今までに、お父さんのしたことで、お母さんが誰かに平謝りに謝る、なんて構図を、いいやってほど見てこなかったかい?」 「……」 「そして、一見…

マイナークラブハウスの森林生活 ―minor club house(2)

「いや、今回のことで……結局は俺も、同じ血を引いちゃってるんだなーって気づいちゃってさ。あんなもん、拾ってきたりして……」 そうだ。俺は多分、これで充分に、満ち足りて成長してきたのだ。 「なんだろう。それで根本的に解決する訳じゃなくても、とりあ…

氷の海のガレオン/オルタ

「それを仕事と呼ぶとしたら、そういうことになっちゃうかも知んない。だけど、そういうことではないんだ。そういうのを、仕事と呼びたくないね。昔おまえらに言った、ムーミンパパが俺の仕事だってのは、あながちふざけきった訳じゃないんだよ。俺は俺のお…

マイナークラブハウスへようこそ!―minor club house(1)

業平は、ここしばらく味わっていなかった感覚が、久しぶりに降りてくるのを、視覚的に捉える。 自分のパートじゃない。ずっと続くバンドじゃない。1回限りの企画物のセッションだってのに。 こんなに手応えがあるって、どーよ。 最高に面白かった!弱小文化…