本田誠

空色パンデミック(4)

現実っていったいなんなんだろう。こんなにも苦しいものが現実なのだろうか。 僕は空想の世界にいるのかもしれない。 僕はここにいないのかもしれない。 ならば、ここにいる僕はいったい誰なのだろう。 シリーズ通して思ったことを、中西景が代弁してくれま…

空色パンデミック Short Stories

「……なんて答えればいいのさ?」 僕は根負けして、小声で青井に訊いた。 「お前の素直な気持ちを答えればいいんだよ」 「素直な気持ち?」 「穂高結衣と俺、どっちが好きなんだ?」 短編でも容赦なく空想病の発作が起きまくってますが、どちらかというとコミ…

空色パンデミック(3)

ああ。 そうか。 そういうことだったんだ。 僕は真実に気づいてしまった。 本当の空想病罹患者が ― 誰なのかということに。 一瞬にして足元が崩壊した。ほんの今の今ままで、幸せなひと時を過ごしていたのに……もはや何を信じていいのか分からない状況に、軽…

空色パンデミック(2)

「世界を敵にまわしても君を守る。かなりクサいけど、格好いいじゃないか。あまり深く考えても無駄だよ。疑っても無駄。答えなんて誰も分かんねーんだから。大事なのは何を信じるかってことだよ。俺は俺が格好いいって思ったものを信じる。お前はお前が信じ…

空色パンデミック(1)

「そうだね。親しい人間って言い方はちょっと語弊があったかもしれない。正確には、患者が好意を抱く人間なんだ」 「よけい分からなくなったよ。僕とあの人はそれまで一言も口を聞いたことがないんだ。彼女が僕に好意を持つ理由なんてない」 「馬鹿だなあ、…