真朱那奈
「だったらどうして!」 「姫巫女殿が、女王の瞳をしているからだ」 ハルバートがまっすぐな視線で答える。 「余の愛らしい姫君、掌中の薔薇であるのみならば、余は姫巫女殿を守ることだけを考える。だがいまの姫巫女殿は、ジニアの女王だ。余はルンゲートの…
「目を覚ましなさいパルティア。あのひとは私が好きになったらいけないひとなの!」 パルティアがかわいいなあとか思ってたら、まさかの亀裂にびっくり。そうだよなあ、まだ15歳なんだよなあ。好きなのに・・・という姿が痛々しかったけど、辛いときには助て…
そうだ。諦めたりなんかできなかった。諦めた振りをしていただけだ。押し込めて押し込めて、祝福して。それなのに。 「君はなんにもわからないくせに、どうしてあたしさえ気づかないでいる、あたしの気持ちに気づいてくれちゃうんだろうね……」 孤児であり力…
「そなたに笑われるのは、不快じゃない」 「もっとみんなにも、笑われてあげて。大丈夫だよ。そんなことであなたはなんにも損なわれないから」 メルキアの有能っぷりはたまらなかったりするが、それ以上に、エゼットのヅカっぷりが楽しかった。パルティアと…
「わからないです。パルティア様。あなたになれるならなりたいです」 「ああそう。じゃあそう思ってくれればいいけど、でもそれは絶対無理なんだ。どっちが素晴らしいとかそういう問題じゃなくて、私があんたになることも、どこの誰だってほかの誰かになるこ…
「本当は、そなたの膝枕で眠りたいものだ。そうすれば疲れも瞬時に癒されるのだろうけどね、婚約前ではそうもいかない」 「ちょ、なにを言って……」 パルティアが顔を赤らめたのを見て、ハルバートは蓮の花がはじけるような笑い声を上げて戻っていった。 「も…