西村悠

僕と彼女とギャルゲーな戦い

「ゲームを作ってる人間なら、一度は通る道なんですよね」 先輩は無言で頷く。 「頑張って作って、もし面白いって言ってもらえたら、とても嬉しいですよね」 「……それ以上の喜びを、私は知らないわ」 ゲームのシナリオライターをすることになった大学生の奮…

幻想症候群

「でも時が過ぎれば君は……死んでしまう」 思わず言った言葉に自分で後悔し、頭を下げる。しかし彼女は怒りもせず困ったような表情を見せるだけだった。 「時間が進むから生きていることができます。生きているから死ぬんです。私は死ぬまで、生きていたいん…

二四〇九階の彼女Ⅱ

明日、おまえにコーヒーを淹れてやる。とっておきのコーヒー豆を実は持っているのだ。なに、遠慮するでない。小僧の教育のためなら有効活用と言えるだろう?」 眠そうな、幸せそうな声で彼女は言った。 「……もし、そのコーヒーが気に入ったら、そのときは小…

二四〇九階の彼女

丸く収まる?気楽なものだな、小僧。おそらく、あの二人はこれから苦難の道を行く。この決断を後悔する日もあろう」 「……可能性を選ぶって、そういうことだろ。自分がいいと思ったことをやるんだ。先のことは誰にもわからないから、未来に絶望があっても、今…