貴子潤一郎
「貴方の進む道はきっと幾つにも分かれていることでしょう。けど進むしかないのです。さあ、お行きなさい。呪われしさだめを背負った『貴婦人の吾子』よ」 尊敬する人を追うように同じ道を辿る薫の辛さがきつい。耐えられたのはまさに先人がいたからこそだよ…
「分かった。約束しよう」 レイニーは涙を拭って言った。 「これはわたしの流す最後の涙だ。愛する妹よ。お前の死を見届けた後、わたしは永遠に泣かぬ。そしてこの世界の番人として永遠に戦い続けよう」 レイニー過去話。いろいろやるせなかったけど、まさか…
「僕はソフィア様の死を目の前で見ました……でもこうしてエクスードを続けています」 「違うな。お前はソフィアの死を直視してなどいない。お前はただ立ち会っただけの傍観者でしかなかった。お前にとってソフィアは、ただ数日前に出会っただけの少女にすぎな…
「お礼に一ついいことを教えてあげるわ。貴方にはもうすぐ『選択』が待っている。それはとても辛い選択。どちらを選んでも貴方が幸せになることのない選択……」 彼女の顔にはこれまでとはまるで違う真剣な表情が浮かんでいた。 「そして、それが起きるまでは…
けど、レイニーさんよ。いつまでもそんな夜の中にいて苦しくないのかい? ふとそんな言葉が浮かんだが、人生を緩やかにリタイヤしようとしている男にそんな言葉を吐く権利はなかった。俺は戦いをやめ、彼女は戦いを続けている。孤独の中で戦っている女性が、…
読み終わったあとに小躍りしたくなるほどの傑作 → 感想
伝説の魔道書。かつてその書をめぐり、魔道師と魔術師が争った。 だが、どちらも手に入れることができないまま月日は経った。 それがフィンランドの小さな村に存在するらしいという話をバチカンに持ち込んできたクラウディア。 かつての借りを返すためにしぶ…
その紙片に書かれた内容を解読しようとしたものは、ある者は発狂し、ある者は自殺した。 それほどまでに危険な紙片には、ゲートの場所が記されていた。 世界と「向こう側」を繋ぐゲート。 人類はそれを施錠するために、「奴ら」はそれを開くために、キィとな…
先日読んだ「12月のベロニカ」が気に入ったので購入。 6つの物語からなる短編集。 表題作の「眠り姫」は「12月のベロニカ」の現代版。世界の中心でなんちゃらよりもはるかに純愛な物語。 個人的に最も好きな作品は「さよなら、アーカイブ」。課題で読書感想…
「ベロニカ」- 女神に使える巫女。 選ばれたものは仕えている間眠り続け、役目が終わると永遠の眠りにつく。 そのベロニカに選ばれた幼なじみとの約束を果たすために、男は騎士となった……。 身分の差による現実、友情、裏切り、トリッキィな構成、そして"選…