佐々原史緒

残光の女神と1/2アンデッド

「那由子さん、ほら」 冬哉は奥歯を噛みしめ、それから口を開いた。 「生きな」 シリーズ当初は怖い印象ばかりだったのに、終わってみたら、こんなに感動させられるなんて。とても良いお話でした。→ 感想

生贄の羊と1/2アンデッド

死が人の終わりではなく、その向こうにまだ続きがあるというのなら、それは救いであって欲しい。ほんの少しだけでもいいから、暖かい何かであって欲しい……それがたとえ、単なるひとときのものに過ぎぬとしても。 見えそうで見えない謎や、届かずすれ違う様が…

死神少女と1/2アンデッド

「……私は渡し。因果を解くのは仕事」 「そうね」 「買収には応じない」もう一度きっぱりと言い。 「だから、これは人助けというやつだ」 ホラーテイストが強くてドキドキ。でも、言葉が通じない霊にも、想いがあることが見えるから、ホッとなる。話が進んで…

創立!? 三ツ星生徒会(4) そうして恋3は辿りつく

「それが『負けられない』じゃなくて『負けたくない』になったんなら、出ればいいと思うな」 「『負けたくない』?僕が葛城さんにですか?」 「そう」 「そんなの無理に決まってます」 「そうかなぁ。わたしは全然そんなことないと思うけど」 葛城さんの思い…

創立!? 三ツ星生徒会(3) それでも恋3は終われない

「正直、最初はどうしてこうも何もかもうまくいかないんだろうと苛立ってた。けど、人が集まって真剣なやりとりをすれば、いろいろあるのは当然なんだと私は思うようになった。なあなあでやり過ごしてどうにかなるほど、三校合併は甘くないんだよ」 葛城さん…

ドラグーン・デリバリー 竜の背はまごころを運ぶ

「この仕事は過酷だよ。言葉が通じぬ相手とそれでも意志を通じ合わせねばならんからな。確かに、好きだけではけっして務まらん」 言いながら、彼はわたしの手を取りました。 「だが、だからこそ、どんな惨い目に遭わされたとて……その前提が揺らいでしまうな…

はかなき世界に、最期の歌を―宵月閑話

どうか、おばあちゃん。 黄泉路に下ってしまう前に、そうして祖霊の列に加わってしまう前に、教えてほしい。 あなたを殺したのは誰なのか、を。 少しずつ明らかになっていく呪には、哀しみを感じるけれど、それだけではない暖かさもあってよかった。小野の当…

創立!? 三ツ星生徒会(2) そのとき恋3は加速した

「向坂くんはすごいよ?いままで一年以上も水穂さまと二人っきりで星ヶ谷を守ってきたんでしょう?誰にも気づかれなくても、ちっとも褒めてもらえなくても、ずっと頑張ってきたんでしょう?そういう人がすごくないなんて、ありえないんだから」 「四月さん………

創立!? 三ツ星生徒会(1) そのとき恋3がはじまった

今まで繰り返されてきた、反発・諍い・罵詈雑言。 その裏にある計り知れない痛みが、いまの二人から透けて見えてくるようで、なんだか胸が詰まった。 なんで、僕はいままで一度も考えなかったんだろう。自分が二人の立場に置かれたら、どう思うのかって。 三…

日本上空いらっしゃいませ 2

「勇者殿、我々は似て非なるもの。まったく異なる世界の違う生き物同士だ」 「……痛感してるよ」 「なら」 覗き込む女の瞳は、黒にも似た緑だった。 「思いが通い合うこと以上の、いったい何を望む?」 ちょっと切なく、そして温かいお話でした。でも、できれ…

暴風ガールズファイト 2

居並ぶ顔を見回して、胸がこみ上げる。 十二人いる。 本当十二人揃って公式戦に出るんだ、わたしたち! あー笑った笑った楽しかった。でも笑いだけじゃなくて、スポ根ものらしい熱さもあって、最高です。→ 感想

日本上空いらっしゃいませ

「わたくし、ずっとずっとこんな風に走りたかった。勇者様と走ってみたかったのです」 「勇者じゃねえっつってんだろ……」 「いいえ、勇者様です」 ふいに真剣な顔になり、女は足を止めた。 「あなたがいらっしゃらなかったら、わたくし、二度と走ってみよう…

暴風ガールズファイト

「そういう勝ちしか知らない人だから、日本一になるだの明日のラクロス界をしょって立つだのってポンポン言えるのかもって、ずっとそう思ってた。けど、この間、それは違うんだなって」 淡々と長谷川は続ける。 「彼女は『負ける』ってことをちゃんと知って…

スイートホームスイート 4 世界で一番すてきな遺産

それでも、アデルはずっと立っていた。 自分の足で過酷な人生を懸命に支え続け、その上、フリューゲルトの命運までも背負って必死になって。 もう泣くなとなんか、言えなかった。 むしろ、好きなだけ泣いてくれ。 泣いて泣いて気が済むまで泣いて、そうした…

スイートホームスイート 3 錯綜のフリューゲルト・レポート

「ならば、信じよう」 そして、口元を綻ばせる。 それは、ひどくかすかで短いものだったけれども。 久しぶりに。 本当に久しぶりにみる、アデルの笑顔だった。 気まずい雰囲気にどきどきな展開。またこんな強烈な引きを!→ 感想

スイートホームスイート2 ウィンナ・ワルツは憂鬱の調べ

「おまえは今もそれを責めるか?」 「まさか。おまえが、その、が、頑張ってることは、えーと、事実だし」 アデルは深い目で、頷いた。 「じゃけえ、同じじゃ」 そして淡々と続ける。 「誰もが惑うし、間違う。それをどう正していくかが一番肝心なんじゃと、…

スイートホームスイート1 世界で一番いらない遺産

ドタバタかと思いきや温かいファンタジィ → 感想