葉村哲

天川天音の否定公式

「私たちは確かに似てないと思うけれど、私は少し、天音のことを、知りたくなった」 そう言って、瑛子は右手を伸ばす。 「あなたの友だちになりたい」 はじめはテンションの高さに、うーんとなったけど、背景が見えてきて、女の子同士が打ち解けてくると、と…

この広い世界にふたりぼっち(3) 神狩の夜

胸が、痛かった。こんな痛みは生まれて初めてだった。 恋などしたことはないけれど、もしも、これを恋と呼べるならば、 この痛みこそが、失恋なのかもしれない。 揺れ動く心が見せる思いが鮮烈に響いて熱い。完結…?かどうかわかりませんが、とても良かった…

この広い世界にふたりぼっち(2) 人形カラシニコフ

「私としたことが、すっかり忘れていました」 眉根を寄せる委員長、パールホワイトのメガネフレームと、小さな顔と、全部が夕日に染まった。 血の雨を、浴びたようだった。 「私は、異邦人で、旅人で、客人で―決して、街の住人ではない」 やっぱりこの作品の…

この広い世界にふたりぼっち

「行きましょうか」 「あてのない旅の始まり、か」 「あてはありませんが、目的はありますよ」 子犬のように白銀の狼が私を見上げる。 「あなたが誰なのかを知るために」 悲しくも美しい物語でした。雰囲気だけで、大満足です。あー、続き読みたい。 → 感想