連城三紀彦

嘘は罪

ミスを犯しているのはあいつも同じだ。そのホテルのキーが自分の大事な忘れ物だということにもすぐには気づかずにいる。あの時あいつが車の中に、俺の口の中に忘れていった鍵が、一年半も経ってちょっと形を変えただけだというのに…… 男女の愛憎を描いた 12…

戻り川心中

これを名作と言わずしてどうする → 感想

白光 [amazon]

ある日、4歳の少女が殺された。 その時を境に、隠されていた家族の憎悪が現れはじめる。 姉の夫を奪う妹、妹の姉に引かれる夫、戦時中殺してしまった少女の夢にうなされる祖父。 子供は皆が望んだがゆえに亡くなったのか? それぞれの複雑な人間関係を解きつ…

もうひとつの恋文 [amazon]

かの名作「恋文」の続編・・・というわけではないが、あえてこの題名を持ってきたということは、つながりがあるのでしょう。短編集。 夫婦で絵本作家として生活しているさなか、取材についてきた若僧のカメラマン。 いつしか付き合いで飲むことが多くなった…

夜のない窓 [amazon]

妻は、当時の不倫相手の妻をだますためだけに、自分と結婚した。愛のない結婚。 そのことに気づいたときには、すでに遅かった。 やがてその不倫相手に捨てられたとき、薬を飲んで自殺を図るほど相手に執着していた。そのときなぜ自分は妻を助けたのだろう。 …

年上の女 [amazon]

また連城氏の短編集。題名がいやらしく感じる人もいるかもしれませんが、そんな内容ではないので念のため。 やっぱり連城氏はいいなあ。ほんと感情移入できます。繊細なんですよね。登場人物が泣くシーンでは、僕まで涙ぐんじゃいますから。文庫だけじゃなく…

紫の傷 [amazon]

今まで読んできた連城作品とは異なり、人の悪意を感じる短編集。圧倒的な悪意ではなく、ひそかな悪意。読んでいるだけで心が痛い。そんな中、表題作でもある「紫の傷」はよかった。二十八年前に付けられた傷。ボディガードをしている相手は、ひょっとして自…

さざなみの家 [amazon]

嫁、姑の争いが絶えないがいたって一般的な家庭の物語。ちょっとした家族の問題、不安などを浮き彫りにし、見えていなかったところ、見ていたはずのところがあることを発見し、家族の間で相談しながら解決していくといった24編の物語。大事件が起こるわけで…

ゆきずりの唇 [amazon]

夫と娘がいる48歳の晶子。だが、結婚生活二十五年目に家を出る決意をした。自分でもはっきりとわからない理由で。そんなとき、娘の婚約者から電話が入る。「娘さんは僕の他に男がいる」と。晶子はそれが誰なのか探し始める・・・。 謎ものかと思いきや恋愛要…

美女

妻の妹と関係を持った男は、疑いをそらすために、決して美しいとはいえない馴染みの居酒屋の女将に芝居を打ってくれるように頼んだ。自分の浮気相手として。 そして妻、その妹、女将の芝居が始まる!そんな表題作「美女」を含む 8編の物語からなる短編集。 …

恋文

結婚十年目にして夫が出て行った。 かつて結婚する前に付き合っていた女性のために。 だが、夫と離れてから初めて夫と向き合うことができ、相手の女性にもいつしか心を許していき……。 男性、女性の心が緻密に、繊細に描かれた五編からなる短編集。 もう何も…

秘花

「夫が浮気をしている」そのことを娘の口から聞かされ驚く妻。 ところが娘は夫に対し「母が浮気している」と伝えていた。 どちらも作り話。 なぜ娘はそんな嘘を? 亡き祖母が残したノートに記される過去。 娘、母、祖母、三代にわたる物語。 連城さんの文章…