嬉野秋彦

彼女は戦争妖精(9)

「伊織さん……あなた、これからどうするの?」 「行けるところまで行きます」 「このまま戦い続けるってこと……?」 ひとつ区切りがつき、それでもまだ戦いは終わっていない、か。いつかは見つかるかもしれない可能性を胸に、仮にたどり着けなくても、家族を守…

彼女は戦争妖精(8)

「クリスは、イオリといっしょにあのおうちでくらしたいよ。リリオーヌやトキワだってあそびにきてくれるし、ルゥやミッチーおじさんがいて、たまーにさつきもあまいものもってくるし――だからクリスは、にげない」 伊織と常葉の距離が変わり、そのことが戦う…

武侠三風剣

「……困ったな」 穙雪健は呟いた。 「このところ困ったことばかり続いていたが、今夜ほど困ったことはない」 「そうか?俺は楽しいがな」 軽快で、少し苦い。ラストはいろいろ想像させられるなあ。上下巻ぐらいの長さで読みたかった。→ 感想

彼女は戦争妖精(7)

「人間もウォーライクも同じだよ」 冷ややかなウインドウに額を押しつけ、バラクリッシュは呟いた。 「結局、みんなさびしがり屋なんだ。ひとりでは生きていけない」 終わりが近づいてくる感じと、愛する人との別れを思わせる様子に、ドキドキが止まらない。→…

彼女は戦争妖精(6)

「このままで ― ずっと今のままでいられるのかな?」 これまで一度も登場していないはずの男を巡って、ロードやミンストレルなど、多くの人が動き回ってるなあ。でもたしかにどんな鍵をもっているのかは大いに気になるところです。それにしても、嘘も重ねて…

彼女は戦争妖精(5)

「だあらだから、あなたたちが本来あるべき姿に立ち戻ってくれるなら、きょうのところは見逃してあげてもいいんだけど」 「おれたちの、本来あるべき姿 ― だと?」 「そう。ロードとウォーライクがすべきことって何?何?まさかそんなことも知らないわけじゃ…

彼女は戦争妖精(4)

「ただ、その子が覚えていようといまいと、その子が?語り部?の有力な候補であることに変わりはない。なら、始末するしかないだろう?イグレインをフィリにするにはその子が邪魔なんだよ」 思わせぶりな言葉が多い割に、なかなか見えないから苛つく。たぶん、…

彼女は戦争妖精(3)

「じゃあさあ、アナタも覚えておくといいよ」 「なんだ?」 「ウォーライクとロードが、こんなおだやかに静かに暮らしていこうだなんて、そんなの無理だってこと。絶対に戦いからは逃れられないのよ。……私が今アナタに教えてあげられることはそのくらいね」 …

彼女は戦争妖精(2)

「常葉はえらい」 「どこが……っ」 黒髪に触れる少女の手を握り締め、常葉は声を詰まらせた。 「わたしは……卑劣な人間なんだ!こんなこと誰にもいえない、いいたくない!おばあさまにも、先生にも、宮本にも。だけど、きみだけはいっておかねばならないから………

彼女は戦争妖精(1)

「戦いに敗れれば、ふたり揃って死ぬか、さもなければおまえだけが死ぬかおれだけが死ぬか、とにかくいっしょにはいられなくなる。そして、もしも運良く勝ち続けることができたとしたら、おまえは『楽園』に帰るんだ」 「……でも、今はいっしょだよ?」 幼い…

006: 虎は躍り、龍は微笑む 落日の賦 暁星の詩

「待て、リュード」 「待てません」 「わたしを置いて行ったら……貴様、絶対に許さんぞ!」 「いいですよ。それなら俺は一生あやまり続けますから」 いやあ、すばらしい。こういうお話大好きです。もう少し派手さがあったら最高ですね。今後もこの著者は追い…

虎は躍り、龍は微笑む 黄金の満月

「けどおまえ、どうしてまたそんな話をわざわざ俺にするんだよ?」 「ああ、だからその珠をね、どうにかコハクに取り戻してもらおうかと思って」 「……は?」 盗まれた「珠」を取り戻しにいったら、盗賊団が絡んできて、というお話。→ 感想

ゼランディーヌ 性悪ないばら姫

「知ってる、ひなこ?」 ロジーヌはひなこに尋ねた。 「実はゼランディーヌって、恋する少女しか発症しないって」 「えっ?そ、そうなんですか?」 「恋愛感情の多幸感によって、分泌が促進されるある種の女性ホルモンと結びつくことで、ゼランディーヌのウ…

虎は躍り、龍は微笑む 獅王争覇!

「それともうひとつ、カイホーの結婚相手は趙家のひとり娘だそうだ」 「ああ、親の事業に融資してもらうのと引き換えに輿入れすることになったとかって聞いたな」 「え!?何よソレ!?」 いつしかコハクやリュードにつき合って屋根の上にしゃがみ込んでいた…