綾崎隼

ノーブルチルドレンの告別

「麗羅は市夏の何処を好きになったの?」 「……夏が好きだったんだよ。多分、そういうことだ」 なんて不器用な人たちなんだろう。それぞれの家族に降りかかった出来事は、たしかに悲劇だと思う。それゆえに歪んでしまった思いは、止めようがなかったとは思う…

ノーブルチルドレンの残酷

「……ねえ、吐季はロミオって幸せだったと思う?」 反目しあう一族の跡継ぎによる恋物語。まだ恋に至っていないけれど、ここから揺れる想いやら何やらが始まるんだろうなあ。ちょっぴりミステリ風味なところは、もっと書いて欲しいと思いつつ、切ない物語にな…

19―ナインティーン

「だけど、俺たち、半年後には……」 「それでもいいの」 ユキは断言した。 「だけどもいいの」 入間さんのゾクっとラブにニヤニヤして、綾崎さんの罵しられ青春にクスリ、紅玉さんの怠惰巫女受験物語に涙ぐんだり。→ 感想

吐息雪色

でも、どんな人なのかもっと知りたいって、そう思ってしまうこの気持ちを抑えきれないなら、どうすれば良いんだろう。 ああ、これはまさに運命の恋だ。出会えたそのことが……何かを感じずにいられない。亡き妻を思う男に諦めきれない思いを描き、二人っきりの…

永遠虹路

「それって何だかさ……」 三日月を見上げる彼女は、優しい目をしていた。 「恋でもしているみたいだね」 舞原七虹の人生を、彼女に惹かれた人たちの視点から描くお話。彼女に恋した人たちの思いが切なく、届きそうな思いがすれ違うところはああ……と思ったけれ…

初恋彗星

星乃叶は今、遠い街でどうしているんだろう。 俺が経験しているみたいな葛藤を、星乃叶も感じることがあるのだろうか。 今でもまだ傷つきやすくて、ナイーブで、人見知りばかりなのだろうか。 話したいことは沢山ある。 会いたい。会って、一緒に笑いたい。 …

蒼空時雨

「あんたさ、もしかして結構、おっちょこちょい?」 俺の言葉に、階段を踏み外しそうになった彼女は申し訳なさそうに頭を掻いて。それから、あどけなく微笑んだ。 「右足が先走ってしまいました」 面白い表現を口にする子だなと思った。 倒れていた女の人と…