鮎川はぎの

聖グリセルダ学院の試練

「こ、交換日記じゃないなら」 「……何だよ」 「交換日記じゃないなら、キアスくんは両思いになったら何するの?」 両思いになっても、言動がズレてるおかげで、いろいろ楽しかった。我慢の男の子は大変だ。恋だけでなく、友情ものなお話が良いものでした。さ…

聖グリセルダ学院の祭典

「俺の評判なんかどうでもいい。それより、おまえが退学になったら困るんだよ」 「え?」 意外な言葉にティエサは目を瞬く。 「困るってなんで?どう困るの?」 いやー楽しかった。積極的な片思いの人たちは空回りが多く、両思いな人たちは言葉が足らないと…

聖グリセルダ学院の初恋

「おまえのせいで、あいつが泣いたんだよ」 面倒な人間関係になっていく展開にニヤニヤが止まらない。ライバルによって、お互いがモヤモヤしながら、戦う時には背中合わせだから素敵です。それにしても、気づいたらネージュが、エリオ化してしてますが、例の…

横柄巫女と宰相陛下(12) もっとふたりで

「一生わたくしをときめかせなければ、承知しませんわよ!」 めっちゃ楽しかった!シリーズの中心人物であった人たちの愛の物語にニヤニヤが止まらない!よき妻の鏡とされるヴァレント夫人の心得によって、女性陣が男性陣を翻弄したり翻弄されたりして、大変…

横柄巫女と宰相陛下(11) ずっとふたりで

「おかしな話だな。おまえの心を苦しめたのはその恋なのに、その恋こそがおまえの心を守るとは」 最後まで諦めなかったノトだからこそ、ボウレアは……と思いたい。それにしても、エリオが素晴らしかった。彼も幸せな結婚……うん、たぶん幸せになれると思います…

横柄巫女と宰相陛下(10) 聖なる檻

「国王として、聖剣の巫女として、ドーラ家当主として兄として。みんな檻の中に繋がれているみたい。金銀宝石で飾られた立派な作りでも、檻は檻だよね」 ここにきてしかけてきたか。よりによって、このタイミングは、ノトに対しても、カノンに対しても、きつ…

横柄巫女と宰相陛下(9) 煌めく嘘

「私がよい王になりたいと思ったのは、君がいたからだ。君が私に理想を与えた。君がいてこその理想だ」 やっぱり、二人が見つめあうシーンには、きゅんとなるなあ。カノンの幸せを思うと辛くなる状況は、ほんと切ない。今回いろいろあったけれど、まさかのエ…

横柄巫女と宰相陛下(8) ある少女の思い出

表情が見えないことなど承知で、ノトは唇の端を持ち上げようと努めた。 「ありがとう。ずっと大好きだ」 届かない距離だからこその言葉。笑って言えた。言えたと思う。 すべては引き裂かれたからこその悲劇だと思うと、やりきれないな。同じ道を選ばず、カノ…

横柄巫女と宰相陛下(7) 肖像のない王女

「私の言葉なんて、お嬢ちゃんの夢物語なんじゃなかったっけ?」 「俺たちは、あんたみたいに夢を食って生きちゃいない。だが夢を見ることくらいはあるんだよ」 カノンに婚約者をというお話。国のためを思うならばどうすればいいのかというのは、前々から出…

横柄巫女と宰相陛下(6) 楽園の塔

「オディルが転任しないといけなくなったのは、わたしを狙った陰謀のせいだ。わたしはオディルに迷惑しかかけてない」 「彼女はそんなふうに思っていないだろう」 「だからこそできるだけのことをしたいんだ。大好きなオディルなんだ」 ややしてカノンはため…

横柄巫女と宰相陛下(5) 届かぬ君へ

わたし、知らなかったんだ。知りたくなんかなかった。 好きって痛いんだな。 家のために好きな人と結ばれることを諦める、そんな思いがやるせなく、またそんな思いを目の当たりにしたノトが、ついに、か。先に自覚していたカノンは前を向こうとしている様子…

横柄巫女と宰相陛下(4) 金色の悲喜劇

「見送りはもう充分ですわ。いざ出発しましょう」 それから自慢の巻き毛を大きく払い、一際大きな声を青空に響かせる。 「今回の主役はわたくしですわよ!」 おまえまだ自覚しきってなかったのかよ!と思いながら、浅はかとしか言いようのない陰謀に振り回さ…

横柄巫女と宰相陛下(3) 王宮は秘密だらけ!

(何してるんだ、わたし!) ところが離れることはできなかった。前に回したノトの腕を、カノンがしっかり掴んだままでいるからだ。 「は、放してくれ!わたし、なんで」 「断る」 「断る?だ、だめだ、断るのを断る!」 ついに自覚……!これから二人の距離が…

横柄巫女と宰相陛下(2) ノト、王宮へ行く!

「<聖剣の巫女>の役目にも王にも、思い入れないほうがいいわ。わたくしたちはどうせ虚しい存在なのだから」 ノト頑張ったなー。外様が故に疎外されていましたが、真剣に取り組む姿から受け入れられていくところがとても良かった。それにしても、まだ恋を自…

横柄巫女と宰相陛下

「君はそんな顔で笑うのだな」 さくっと読めて、物足りないところもあるんだけど(なんだあの稚拙な陰謀は)、感情を表に出さないが故に誤解されていた女の子と、常に冷静で冷たく感じさせるほどの男の距離が縮まっていく様子が良かったです。場所を変えたら…

聖グリセルダ学院の事情

「わたし、ジゼラさんを殺した犯人を捜してみる」 そうすることが正しいのかどうかわからない。でも、もう怯えているだけは嫌だ。 「大切なものを否定されて、ふさわしくないって決めつけられて、ただ泣いていたくない」 都会の学院に通うことになった元暗殺…