櫂末高彰

学校の階段 10

刈谷先輩。もしかして、ずっとこんな思いをしていたんですか?たった一人きりで、誰にも理解されない思いを抱えていたんですか? この感覚は、他の人に説明が出来ません。刈谷先輩は、だから一人きりで走っていたんですか?今も、一人で走っているんですか?…

学校の階段の踊り場

「九つあったプリンを、ここにいる私たち八人とあやめさんでひとつずつ食べれば数はピッタリ合う。そうよね?」 角井先輩が真子先輩にズイッと顔を近づけました。真子先輩は笑顔を引っ込めようと努力しながら「そうでーす」と答えます。 「それじゃあ、どう…

“文学少女”はガーゴイルとバカの階段を昇る

「綺麗っ!すっごく可愛いわよ心葉くんっ」 「うぉ……っ。こりゃ凄いな……」 「井上君、本当に女の人みたいです……」 「た、確かに凄いね……」 そこには完璧な年上の女の人がいた。 「ぼく、今日ほど遠子先輩の後輩であることを後悔したことはありません……」 ど…

学校の階段 9

どんだけお構いなしだよっ。ふっきれるにも限度があんだろっ。 神庭の背中に突っ込みながら、湾曲した廊下を左にカーブしつつ駆け抜けていく。 ヤべえ、ヤべえよマジでっ。楽しくて仕方ねえよ! 部長戦。すげー熱い戦いでした。井筒熱いよ井筒。神庭がちょっ…

学校の階段 8

「キてる、キてるよ!今年最後の大爆発!」 「聖夜に筋肉舞い降りてるよ!神々しいよ!」 「子どもたちへの楽しいプレゼント、グングン見せつけて!」 「さあ、お前たち!神聖なる夜にふさわしい、ダイナミックな一撃を叩き込んで来い!!」 なんてクリスマス…

学校の階段 7

「……いいわね。そう思えるなんて」 「御神楽さんだって、そう思えるよ」 「嘘」 「本当だよ」 「だって、みんなそれぞれ違っていて、それで良いんだから」 生徒会選挙編。青臭さすら吹っ飛ぶ筋肉が最強でした。やってくれるぜ。→ 感想

学校の階段 6

どうしてだよ。どうして、こんな、どうしちゃったんだよ、僕は……。 何かが胸の中に覆いかぶさっているようだ。こんなことではいけないのに。こんな場合ではないというのに。自分はどうしてこんなに― やる気がなくなってしまったんだ。 これは素敵な青春物語…

学校の階段 5

「あのっ……」 万感の思いを込めて、凪原が顔を上げる。けれど、言葉は出てこない。 ガシッ。 井筒がバトンをつかんだ。凪原はビクッと震える。だが、井筒はそうっとバトンを自分の方に引き寄せた。凪原の手が自然に解ける。井筒は凪原の目を見て言った。 「…

学校の階段4

好きです。 好きです。好きです。好きです。好きです。 大好きです。 もう、どうしようもありません。せめてこれだけは、聞いてもらえなくてもこれだけは、あのとき言えなかったこれだけは、言っておかないとダメなんです。 超絶に熱い物語でした。いやあ、…

学校の階段3

ああ、そうか。もうひとつ思い出した。 負けるのが悔しくて、何とかして勝ちたくて、掃除をしていたときに気づいた壁や窓枠の位置関係を利用して壁を飛んでみせたこと。初めて九重を追い抜き、先に一階まで辿り着いたときのこと。 『こう髪の毛がブワーッて…

学校の階段2

「神庭。いきなりどうしたよ」 「話聞いてただろ。部長だって辛いんだ。でも、けじめをつけないと」 井筒も諭すように言う。けれど、それはむしろ幸宏の癇に障った。 「けじめ?けじめって何だよ。相手を切り捨てることが、けじめかっ?」 青春の失踪は終わ…

学校の階段

素晴らしき青春の失踪!→感想