須賀しのぶ

キルゾーン 赤と黒

ラファエル、はやく戻ってこい。 見つめる二人は、同じ願いを口の中で繰り返す。 おまえのいる場所は、ここしかないから。もう、決して離れる事は無いから。 だから、はやく戻っておいで。 おまえを愛する者たちが、待っているのだから。 おまえを愛する者た…

アンゲルゼ 孵らぬ者たちの箱庭

気に懸けてくれる人がいる。こんな自分でも心配してくれる。湊や遥、そしてたぶん、覚野も。やりかたは乱暴だけど、覚野はやはり、もーちゃんなのだ。ひどいけど、たぶん、やさしい。 今日借りたスニーカーは、きれいに洗って変えそう。 そして明日は、学校…

キルゾーン 嘘

「余計なことを」 ラファエルの唇から、静かな声がこぼれた。マックスは耳を疑った。今までのラファエルからは考えられない、低い、そして非常に耳に残る声だった。 「余計なことを。彼には一生、おまえたちとかかわりになってほしくないと思っていたのに」 …

キルゾーン 密林

くだらない虚栄心だと笑う者もいるだろう。少しの弱さも他人に見せられれない者などただの臆病者だと謗る者もいるだろう。そういう輩には、言わせておけばいい。おのれの弱さを進んで他人に示すことでくだらない満足に浸り、あがくことを忘れた人間などに、…

キル・ゾーン 破壊天使

「なに、心配で泣いてたわけ?」 「ばっばか、そんなわけねーだろ!目が赤いのは、ち、ちょっとゆうべ眠れなかったから」 「ほほう、夜も眠れぬほど俺たちのことを心配してくれたわけだ。うれしいねえ」 「ふざけんな、誰がてめーらの心配なんかするかよ!俺…

キル・ゾーン 戦場のネメシス

「昔、俺の知り合いが言ってた。女ってのはいつも優しい言葉だけかけて適当に甘えさせてりゃそれで満足する生き物だって」 「……なに、突然……」 「俺はね、その気になればいくらでもおまえのこと甘やかせると思うよ。昼も夜もそばにいて、おまえがつらい時は…

キル・ゾーン ジャングル戦線 異常あり

ああそうか、とラファエルは思った。 ここはすでに、人間社会などではないのだ。ルールも何もない、野生に生きる動物たちの弱肉強食の世界そのものなのだ。そしてキャッスルたちは、何のために生きるかではなく、ただ生きるためだけに生きている野獣そのもの…

スイート・ダイアリーズ

今、亜季の頭を占めるのは、すこし舌ったらずの甘い声で囁かれた、あの言葉。 『私、やってあげてもいいよ』 この世界で一番あの男の死を切望していたのは、まちがいなく亜季自身だ。頭の中で、何度殺したか知れない。 『家もわりと近いし、やりやすいから』…

喪の女王8 流血女神伝

「だが、私のような愚かな者が皇帝であっても、ルトヴィアという国は動いている」 胸からこみあげる熱いものを感じながら、ドミトリアスは窓から外を見た。冬枯れの光景は寒々しいが、その下では人々が必死に生きている。この国を守ろうと、力をあわせて戦っ…

喪の女王7 流血女神伝

「そなたが邪魔しようと、私は以前と同じく、皇后としての使命を果たすだけだ。ドーンよ、そなたが私を疎んじているのならば、それでもよい。だがな」 銃のように、グラーシカは指をドミトリアスの面前に突き出した。 「私はこれから、そなたを私に惚れさせ…

喪の女王6 流血女神伝

もう、逃れることはできない。してはならない。 一個の人間として、真に誇り高く生きるつもりならば。 このシリーズに関しては何もいう必要ないですよね。すばらしい。→ 感想

喪の女王5 流血女神伝

「人として、誰もが戦える。まわりの人間も皆、女神のさだめなどに負けるような者ではない」 冷たい夜風に吹かれながら、サルベーンはつぶやいた。 最終誓願を促したメナイクに、カリエが返したという言葉。なんと美しい言葉か。そして、友へのなんと強い信…

喪の女王4 流血女神伝

そうだ、この人は似ているのだ。 一度も姿を見たことのない、ザカリアに。カリエを気ままに操り、人々の命をおのれの目的のために道具のように散らしていく、あの流血女神に。 ユリ・スカナの女王・バンディーカの激動が語られる物語 → 感想

喪の女王3 流血女神伝

「そういえば不吉な名前だから名を変えたとおっしゃってましたね」 「ええ、古い占いでは違う言葉から派生したと言われているそうよ」 「違う語源があるのですか?」 「そう。ザアダ・エク・イ・シジャラァ」 「どこの言葉です?」 「東方の言葉だと聞いたわ…

喪の女王2 流血女神伝

その時、彼女はどうするか。 最初に誓った通り、どんなことがあってもわが子を守り通すか。 それとも、かつて女神に全身全霊で立ち向かったように、また今度も…… 怖さを感じる面白さ → 感想

喪の女王1 流血女神伝

そう、全てはいつわり。 自分が男の前で服を脱ぐときは、全てそうせねばならないからするだけだ。 もう二度と、恋などしない。 女としてのバンディーカは、夫を殺して玉座についた時に死んでしまった。 だから彼女は喪服を纏う。夫と、自分が手にかけた多く…

暗き神の鎖 後編 流血女神伝

おまえらは、神意とやらを探りすぎる。そんなものは人間が好きに推し量って決めてよいものではあるまい。人間に意思があるかぎり、主観がまるで入らぬことなどありえないし、結局自分のいいようにしか解釈することができないのだからな。 運命とはかくも残酷…

暗き神の鎖 中編 流血女神伝

「ここを抜け出したら、二度と戻ってはこられないでしょう。バルアンはあなたを許さない。それでも?」 カリエは一瞬、強い痛みをこらえるような顔をした。 「とても悲しいことね。でも、わたしは行くわ」 それでも彼女はきっぱりと言った。 「そして、友と…

暗き神の鎖 前編 流血女神伝

あのラクリゼがまさか…… → 感想

女神の花嫁 後編 流血女神伝

ラクリゼの激動に胸が熱くなる完結編 → 感想

女神の花嫁 中編 流血女神伝

ふたりの成長が描かれる中編 → 感想

女神の花嫁 前編 流血女神伝

ついに始まるラクリゼとサガール人の物語 → 感想

天気晴朗なれど波高し。

ギアス最高! → 感想

砂の覇王 9 流血女神伝

砂の覇王編完結! → 感想

砂の覇王 8 流血女神伝

カリエ復活の巻 → 感想

砂の覇王 7 流血女神伝

どうなるのか予測がつかないおもしろさ → 感想

砂の覇王 6 流血女神伝

ラクリゼらぶー 感想

砂の覇王 5 流血女神伝

カリエの正体が明らかに → 感想

砂の覇王 4 流血女神伝

ああ、何かバルアンにショック → 感想

砂の覇王 3 流血女神伝

また魅力的な人がきましたよ。バルアン。 → 感想