小野上明夜

死神姫の再婚 誰にも言えない初恋の君

「取り返す」 囚われのお姫様を救い出すのは、いつだって王子様の役目なのだ。 「絶対に、取り返す。だから……、待っていてくれ」 アリシアの向こうっ気がとても楽しい、けど、どんどんとひどいことになってるな……大きく話が動かないからもどかしいけれど、次…

悪魔が来たりて恋を知る

「違う!その……、君があまりにも魅力的だからだ!美しくてか弱い女性は、無闇にそのすばらしさを男に教えてやると危ない!……まあ私は騎士だから、誘惑に乗ることはないが、他の男には絶対……」 おいなんだこの可愛い二人は!引っ込み思案の悪魔が惚れ薬を飲ん…

死神姫の再婚 定められし運命の貴方

「そうはいかんな。追いかけっこは十分堪能したし、俺もそろそろ我慢の限界だ」 「ひゃうっ」 「もっとお前と、いちゃいちゃしたい」 カシュヴァーンとアリシアの夫婦生活は、見てるほうが恥ずかしくなるぐらいのいちゃつきっぷりで、なまじアリシアが開花し…

死神姫の再婚 始まりの乙女と終わりの教師

「分かっている。お前が嫌がるようなことはしない」 「そ、そうですわよね、約束してくださったんですものね……?」 「しかし、正直なところ今すぐあちこちに言いに行きたい。特に王宮あたむぐ」 「だっ、だめです!だめです!!絶対だめですっ!!」 ノーラとテ…

死神姫の再婚 五つの絆の幕間劇

「分かりました。ティルナード様、こちらに来て横になって下さい」 「え?」 「初夜の作法を知りたいのでしょう?服まで脱げとは言いませんが、あなたのその知識量では、言葉で説いても理解できないでしょうからね」 「そ、それはまあ、そうだろうけど……」 …

死神姫の再婚 恋するメイドと愛しの花

「どうした、アリシア?」 無意識に夫の服の袖口を握ってしまったアリシアに気づき、カシュヴァーンが妻を見下ろした。 「な、なんでもありませんの……あ」 逃げかけた手を掴まれた。指にカシュヴァーンの指が絡みついてくる。 「嫉妬しているなら、素直にそ…

死神姫の再婚 飛べない翼の聖女

「改めて、誕生日おめでとう、アリシア……」 「あ、ありがとう、ございます……」 「十五歳のお前に、もう触れられないのが悔しいが……その分十六歳のお前に、たくさん……俺だけが、触れたい……いいよな……?」 カーシュとアリシアのいちゃつきっぷりが半端じゃない…

死神姫の再婚 孤高なる悪食大公

「謝らないでくれ。本当に悪かった、もうこういうことはしない」 「え……、しませんの?」 またしても口を滑らせたアリシアは、一瞬置いて自分の発言の大胆さに気づいた。 真っ赤になって逃げようとしたが、またしても強く抱き寄せられ、身動きできない。 「……

死神姫の再婚 鏡の檻に棲む王

「お前のことが好きだから、危険な目に遭わせたくないんだ。できれば王宮などには連れていきたくなかった。いろいろ見せたくないものもあるしな……」 髪を撫でながら唐突にそう言われ、アリシアの「おなかが痛い」は一気に最高潮になった。 「か、カシュヴァ…

死神姫の再婚 微笑みと赦しの聖者

「そっかぁ。買われたも同然って話だったけど、アリシアはあの人のことが本当に好きなんだね」 「本当に、好き……?」 「うん、だってそういう顔してたよ」 「え、ど、どんな?どんな顔?」 うふふふ。ゴロゴロしまくったよ!もっともっと素直になってほしい…

死神姫の再婚 私の可愛い王子様

「カシュヴァーン様が、カシュヴァーン様のことをお嫌いでも……私はカシュヴァーン様のことが、好きですわ。だってあなたは私の理想の旦那様で、私の家族で、私を……助けに来てくださった、王子様なんですもの」 手を伸ばし、カシュヴァーンの腕に触れる。 「…

死神姫の再婚 腹ぺこ道化と玩具の兵隊

「……また、おなかが、痛く、なってきましたわ……」 「……そうか。それは嫌な痛さか?」 「いいえ……大丈夫です。でも不思議……おなかの丈夫さには自信がありましたのに、カシュヴァーン様はどうしてこんなに簡単に、私のおなかを痛くできますの……?」 なんだかん…

死神姫の再婚 薔薇園の時計公爵

「さ、触らないで下さいませカシュヴァーン様。カシュヴァーン様に触られると、私……私余計に、余計におなかが……カシュヴァーン様?」 くく、と漏れた笑い声に気づいて、アリシアはそっと眼を上げた。 カシュヴァーンは寝台の上で身を起こし、声を殺して笑っ…

死神姫の再婚

「奥様……」 「高いお金を払ってくださって、ここにいるだけでいいって言ってくださって、おまけに私の趣味にぴったりのお屋敷に住んでいらっしゃって!」 「……あの、奥様……」 「なんて理想な旦那様なの!私、死神姫と呼ばれていて良かったわ!!」 怪奇小説…