竹岡葉月
誘拐か失踪かで揺れていたアルトは、なんと答えていいかわからなかった。 疾走だとしても、わからないことだらけだ。 いったいなぜ?目覚めないはずなのにどうやって?妹は今どこで何をしている? 妹の行方を探していたら、こんなにも話が動くとは!もどかし…
「これは姫の御年十七歳のご生誕祝いです。今日一日、姫はお忍びで市井をご視察される予定。そなたは姫を導きお守りするのです」 「……人と、約束をしてしまっているのですが……」 「拒否権があるとでも?」 少なからず想い合ってるアルトとエーマの間に、フォ…
「それでも自分は、魔女になりたいと思っています」 「まだ言うの?」 「ここで修業をさせていただけないでしょうか」 「なんでよ。男のくせに。魔男なんてお呼びじゃないのよ」 「単位が足りなかったからであります!」 「帰れぇ!」 男だけど単位のために…
ちくしょう神様。今ここで死ぬほど嬉しいのを、どうか止めてください。お願いですから、止めてください。 止めてください。止めてください。止めてください。どうか。 それが無理なら…… 素晴らしい最終巻!心に蓋をして、必死になって堪えて、受験に逃避して…
「安心して。家の仕事もユキグニの看病も、ボクがちゃんとやってあげるから。ね?」 ごめん舞ちゃん。 それが一番怖いって言っていい!? 短編集。ラブコメ模様は楽しいけれど、本編の続きが気になる身としては……。→ 感想
「ハンデ?ハンデってなんですか?助けてもらって恋をするんですか?蜜は好きな人の名前を間違えずに呼びたいだけです。そんなことも一人でできないで―」 ぐっとのどの奥をつまらせる音。 「どうやってこのさき恋愛すればいいんですかあ!」 入れ替わりに終…
間近に見れば落ち着かなくなるその美貌に、一日つきあうことになるわけか。 胸は高鳴り、そして心境は複雑だ。 胡蝶の宮と一日デート。本当は男なのに女装して、なのにここからまた男装して、この場合自分はいったい誰になってしまうのだろうか。 胡蝶の宮が…
「それでね、一駿河蜜さん。これはあたくしの勝手なわがままなのだけれど……その無謀な背伸びを、あなたにいつも見ていてもらえれば、とても楽しいんじゃないかって……ずっと思っていたのよ」 ドタバタ騒動ものは面白いけど、やっぱりラブ要素があるとニヤリと…
「お嬢様は、悩まないと?」 「悩むわよ。たぶん、これからもいっぱい。でもそれって、きっと明日を良くするための悩みよ。後悔なんかじゃないわ」 イドなセリアが可愛いったらないなあ。いつだって彼女は勇気を振り絞ってますよね。最後に宿り木の風習を知…
「どうせわたしは隙だらけの仕方がない子よ……」 さすがのロドニーも、セリアの異変に気がついた。 「申し訳ありません、お嬢様。言葉がすぎました。私はただ、あなたのことが心配で……」 「うるさい!ロドニーなんて大っ嫌いよ!」 自分の思いをかなえるため…
「おきれいです。とても」 ほっとした。言葉が染みた。心に染みた。 なぜだろう。 たったその一言だけで、こんなにもがんばろうという気力がわいてくるのだから。 フェアレディな姿にしびれた。執事さんとの恋がどうなるのか楽しみ。 → 感想
「いまさら、言えることではないというのは重々承知しております。謝罪はあとでいくらでもいたします。だけど私は」 すうと息を吸いなおす。頭を下げた。深々と。 「良いものを見て良いと言えなくなってしまったら、それは私の心の終わりです」 お祭り騒動も…
欲しいものは欲しい。 幸せになりたい。 ついでにまとめて、世界人類に幸いあれ。 あっちの世界にいっちゃうのはアレだけど、最後は素敵にハッピーエンドでした。楽しかった! → 感想
「気をつけるのは、過去の悔恨と孤独。己を過信すること。道が見えなくなっても、決して諦めては駄目。心が凍える季節、未熟な魂は、あなたを深く傷つける」 「ましろ……?」 いい柾季、とましろは、柾季にだけ聞こえる、蜂蜜のように甘い声で囁いた。 「これ…
「なあ、宇卵。俺が使い魔作ろうと思った最初の理由、やっと思い出したぞ」 (ありがとな) 一子の頭の中に、直接流された言葉。 「どんなどえらいバカやっても一緒にとんずらこける、共犯者が欲しかったんだよ」 ランランやってくれるよランラン! 引っ掻き…
「しょう……っが、ないじゃない。好きなんだもの」 ぽつりと廊下に落ちた、一粒の水滴。それは、割れた窓から吹き込んだ風雨だ。 そう思うことにしよう。 「幸せに、なってほしかったんだもの……っ!」 たとえかなっても。かなわなくても。 それでも願いを唱え…
「魔女は……偏見を持っちゃいけないんじゃないの?」 「だからこそと自負しているんだが」 一子のいる位置から、その時の柾季の横顔は見えなかった。 「思い込みでもなく逃避でもなく、本当に何もかも捨てて打ち込める覚悟なんて、月に一度の割合で転がってる…
「そもそも、滋賀くんの連呼する魔女ってなんなの?いまいちというかぜんぜん不明なんですけど」 一子の質問に、柾季はしばし黙り込んだ。そして 「……一つの技であり思想であり生き方だな」 魔女を目指す男の子と使い魔になっちゃった女の子のラブコメディ。…
「ちょっと届け物をしに行ってくるのだ。聞いたであろう?困っているお嬢さんを泣かすわけにはいかないのだ」 「なにそればっかじゃないの?外見てみなさいよ絶対雨降るわよ」 たたみかける彼女に、しかし芝目たちは無敵だった。 「知ってるか?人のために働…
「……なぁみんな、僕はもう終わりにするつもりだ。アサヒが僕らに遠慮する義理なんてないし、アサヒに壊されるような秩序なら初めから無いも同じだよ。それなのにいつまでも振り回されているうちに、僕らは本当の居場所さえ取り上げられるかもしれないんだ」 …
俺たちは怒る。打算だらけの人間にも、はた迷惑な妖精にも。 なあ、これってそこまでおかしいことか? 「気にするなよ。そこで怒れるお前はけっこう好きだ」 素直になれない男の子と女の子が、ちょっとずつ気になっていく様子がたまりません。続き出てほしい…
「ワタシ――あの、なにかマチガエましたか?マイヒメさん」 「間違えたとかそういう問題じゃなくて――」 「ワカリマシタ。それでは言うしかありません。ワタシがアサ見かけたストリップボーイは ――」 「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ」 蜜かわい…
「おまえの気持ちは、わかる。淡谷雪国。俺たちはもてない。思いはたいてい通じない。自分を好きになってくれる人間なんていやしない。だが俺は、あえてお前に恥をさらしてもらうつもりだ」 「どうして!」 「それでも近づきたかったのがお前だからだ!」 「…
「じゃからなぜ笑うのじゃ!?」 なぜって? 笑いたいから。幸せだから、きっとそれだけでじゅうぶん。 真っ赤な顔で怒るアネモネを、師走は両手でぎゅっと引き寄せた。 ありがとう。俺の最高のお姫様。 読み終わったあと、幸せな気持ちになりました。温かさ…
「あの子、すごく真っ直ぐじゃない」 「そう……だな」 「大事にしてるものがあって、そのために一生懸命で、折れないし曲がらないの」 睦月にもわかっていたのか。 「止まらないの。止められないの。わかる?譲れない物が、一番に背中を押してくの。目の前に…