藤原祐

煉獄姫 三幕

「もはや儂らにもぬしらにも、戦わない理由はない」 そして傲慢極まりない王のように、腕を振り下ろし、戦の火蓋を切る。 「存分に殺し合え、儂が許す」 ついに動き出したユヴィオールが恐ろしい。アルトにしろ、レキュリィにしろ、奥の手を使わざるを得なく…

煉獄姫 ニ幕

「あなたは理解していない。アルトのことを」 「そして僕のことを」 「見くびるな。僕とアルト……ふたり揃えば、瑩国に勝てる奴はいない」 面白い。裏でうごく人たちに振り回されながら、このバトルが見たかったという対戦にニヤリとして、最後に狂気へ落とし…

@HOME 我が家の姉は暴君です。

「覚えておきなさい。悲劇や喜劇の後にはね、大事な選択が必ずあるのよ。まあ、悲劇や喜劇が訪れなくても選択しなきゃならないことはいくらでもあるのだけれど」 「……園村響くん」 言葉を、男が受け継ぐ。 「きみ、うちの子供にならないかい?」 血の繋がら…

煉獄姫

そして、彼女は。 「だったらめいれいするわ、フォグ」 彼がここへ来て初めて、年相応の、幼い笑みを浮かべ。 嬉しそうに、本当に嬉しそうに、言ったのだった。 「わたしと……ともだちになって」 生まれながらにして呪われた姫と彼女に仕える少年が繰り広げる…

アカイロ / ロマンス(6) 舞いて散れ、宵の枯葉

「あなたは、間違っている」 枯葉は―告げた。 「愛するというのは覚悟を決めることではない。相手の覚悟を支えることだ。そして……相手のすべてを受け入れることでもない。自分のすべてを相手に受け入れてもらうべく、常に研鑽し続けることだ」 取り繕うこと…

アカイロ / ロマンス(5) 枯れて舞え、小夜の椿

「なん……なんですか」 型羽は薄ら寒いものを覚え、震える唇で問いかける。 答えを教えてくれはしないと思いつつ、それでも尋かずにおれなかった。 「『つうれん』に、いったいなにがあるというのですか!」 繁栄派側の話に切なくなったり、初デートにばくば…

アカイロ / ロマンス(4) 白日ひそかに、忘却の

「夢は寝て見なさい」 「寝ないで見据えれば、夢なんてただの現実よ」 木陰野に怯む様子はない。 「夢だと思うから叶わないだけでしょ?通夜子さん……ううん、通夜子さんだけじゃない。あたしや、枯葉や、歩摘や……あたしたち鈴鹿が生きてるのは夢じゃなくて、…

アカイロ / ロマンス(3) 薄闇さやかに、箱庭の

「あなたはなにも知らない。鈴鹿のことを。一族に潜む闇を。そして、あの夜のことさえも」 「……貴様」 枯葉は供子を睨み付けたまま、それでも怪訝な顔をした。 「闇、だと?それに……あの夜のこととは、なんだ」 因縁めいたものに対して、若干修正が入る模様…

アカイロ / ロマンス(2) 少女の恋、少女の病

「に、にんげんのくせに……」 「……ちょっと待て、電話だ」 「でんわとかかんけいありません。はなしはまだおわってませんっ」 「え、携帯、もしかして持ってないのお前?大人はみんな持ってんだぞー?」 「くっ……くやしくなんか!」 枯葉と心を合わせ始めたと…

アカイロ / ロマンス 少女の鞘、少女の刃

「霧沢は、見たでしょう?」 「やめろって、言って……」 ああ、畜生め。 唇を咬んだ。 あれは…… 「鬼はね……首だけになっても、死なないのよ」 序盤の衝撃があまりにも強すぎて、後半が物足りなかったです。しっかし容赦ないなあ。 → 感想

れじみる。Junk

彼女の言葉は、僕がたぶん、考えまいとしていたことに違いなく。 だからこそ、こいつがあっさりとそれを指摘してしまったことに、怖くなった。 そんな僕の狼狽を他所に、殊子はひとりごちた。 「楽しみではあるよ、私は」 「何が、だよ」 「ま、どう転んでも…

レジンキャストミルク 8

「私にそんな……マスターや他の人たちを犠牲にしてまで幸せになる価値が、あるんですか」 世界から守られてもいない。愛されてもいない。疎まれ、憎まれるだけの私に……。 「忘れたのか?硝子」 マスターの言葉は、私の耳からその奥に、ゆっくりと染み込んでい…

レジンキャストミルク 7

「……なんで、よ」 意味もなく響いた自分の言葉に、蜜は唇を咬んだ。 「なんであんたが……ここにいないのよ?」 涙が止まりませんでした。ああ…… → 感想

レジンキャストミルク6

「辛いぞ」 「大丈夫です。……マスターと一緒なら」 「死ぬかもしれないぞ」 「死にません。……マスターを置いては」 「そうか」 「そうですよ」 だったら、大丈夫だ。 希望と絶望が見える展開には、ゾクゾクさせられます → 感想

れじみる。

「お母さんと仲良くね?里緒、ミキオとはもう会えないけど、ミキオのこと……」 忘れないよ、そう言いたかったのでしょうか。里緒さんは途中で言葉を詰まらせましたが、 「会えるよ?」 「え?」 幹生くんが、無邪気な顔でそういったのです。 「また会えるよ」…

レジンキャストミルク5

「舞鶴蜜、言葉を慎んでください」 「あんたもよ、機械人形」 諌めた私にも怯まずに、蜜はこっちを睨み付けてきます。 「あんたの友達はいったい誰?鴛野在亜の中にいる人格の断片?それともそこにいるそいつ?それすらもわからないっていうのなら、あんたは…

レジンキャストミルク4

「……わかったよ、里緒」 「何がわかったって言うの?……どうせ死ぬのに」 「黙れ」 僕は里緒の言葉に嘯いた。 「僕を殺す?……冗談を言うな。里緒程度に僕が殺されるとでも思ったか? あまり調子に乗るなよ……柿原里緒」 蜜の過去が明かされる! → 感想

レジンキャストミルク3

「マスターは私の所有者ですから、私を万全な状態に整備するのもマスターの役目です。もう少し簡易な言語で言い直すと、要するに養ってください」 「そんな端的に……っ?」 「大丈夫です。マスターにはその能力があると私が保証します」 「しかも保証された………

レジンキャストミルク2

心地よく悪趣味な物語 → 感想

レジンキャストミルク

人々の空想と欲望によって生まれたパラレルワールド「虚軸(キャスト)」 その世界がはじけるとき、現実世界へ影響を与える。 虚軸からの影響を受けたものは、何かを欠落し、引き換えに力を手に入れる。 平穏な暮らしをしていた硝子の「固定剤(リターダ)」…

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"稀存種"を統合させ、世界を再構築する。 エデンの計画は進む。 それを阻止しようとするシオンとルナ。 エデンそのものを破壊しようとするロイド。 エデン内部で反乱を起こしたレイン。 それぞれがそれぞれの思いを胸に抱え、ついに最後の決戦が始まる! シ…

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1は結構前に読んだのですが、いまいち乗り切れなかったのですが、気になる作品ではありました。ちょっと放置気味でしたが、今月4巻が出版されたのをきっかけに読み直す。 "混沌"後の世界は、辛うじて残っていた前時代の「過学」の力を使って生きていた。 力…