細音啓
「見つけに行くしかないんだよ。失ったものは話し合いでは戻ってこない、失った場所へ見つけに行くしかないのさ」 モニカの思いがやるせなかった……でも、それを引き上げる仲間の絆が素敵。副題から連想されるものがあるだけに、此処から先が楽しみです。→ 感…
「あなたは、エデンに落下すべき者ではなかった。 あなたがエデンに堕ちたことそのものが、世界にとって想定外の事象だったのですよ」 這い上がってきたシェルティスが、再び堕ちていく様が痛々しい。全てがイグニドの手のひらの上で転がされてるかのように…
「嫌なら辞めればいい。簡単な話だ」 「辞められないんだよっ!」 自分でも意識せぬうち、その言葉には力がこもっていた。 「……苦しい修業して、周りに友だちもできなくて、それでも巫女見習いが巫女を目指すのは、そんな苦しい想いの先に叶えたいものがある…
「千年獅がいないんじゃないんです……」 「では?」 「……待ってるだけだから……塔の最上階で、待ってるからって約束してるから」 少人数で他庁へ乗り込むお話。これまでと違った緊張感を見せながら、巫女として成長しつつ、新たな道を進むユミィが素敵だった。…
「人に期待するんじゃねえ、人に期待されるのが護士だろうが!」 「四人目」のヴァイエルがとても格好いいじゃないか!斜に構えてないで素直になればいいのにー。部隊内に新たな恋が生まれそうでニヤニヤです。ニヤニヤと言えば、モニカとシェルティスのこと…
「シェルティス……もしもわたしが……もしもですよ、仮の話ですよ?……あなたを支援するとここで誓ったなら、あなたもわたしを信じてくれますか?」 「ううん」 シェルティスは、とびきり悪戯っぽい笑顔で笑ってみせた。 「僕、そんなことしなくても最初っから華…
「……あいにくわたしには話が見えないんだが」 怪訝な面持ちでじっとこちらを見すえる彼女。 「ええと、なんて言えばいいのか」 とっておきの悪戯を思いついた子供のような表情で、シェルティスは。 「モニカ、明日また僕と部隊組んでくれないかな。今度は本…
「あのさ。もしかして……わたし、だめな巫女なのかな」 『これはまた唐突ですね』 「だって……巫女は浮遊大陸全体のために命をかけて結界を張るものでしょ?それはわかるの。でもその中に、一番守りたかった人がいなくなったら……どうすればいいの」 世界を護る…
それは夜色の名詠式と名付けられた詠だった。 ……母さん、アーマ。 ……ありがとう。そして、僕は信じて良いんだよね。 自分の学んできた名詠式が、大切な人を助けられるということを。 エイダ、レフィスの思いにも決着をつける展開が素晴らしい。それ以上にネ…
なぜだろう。こんな場面なのに、自分が消えるかどうかの瀬戸際なのに。 あの夜色の少年の顔しか思いうかばない。 「わたし、キミのところに行きたいの……行きたいよ」 思いの深さに涙がでる。これで本当にネイトが目標を定めたということか。最終章が楽しみ。→…
本当はわかっていたのかもしれない。知っていて、でもそれがネイトに知られるのが怖くて、自分の心も一緒にごまかし続けてきた。でもそれも限界だ。 ネイトがわたしをどう思ってるかじゃなく、わたしはネイトのことが…… 『いい加減、自分でもわかっているの…
「アーマ、どういうこと?」 『今はわからなくていい。だがお前は明日、<ただそこに佇立する者>の声を聞く』 それは自分とクルーエルに関係があるのだろうか。 『我が言えるのはここまでだ。だから、あとはお前が選び、お前が詠え。それがどんな結末になろ…
「キミが何をしたいのかわからないけど、いいよ。でもその代わり」 二の句を告げるまえに、クルーエルは彼の左手をぎゅっと掴んだ。 「く、クルーエルさん?」 驚いたように、彼が自分を見上げる。その小さな額を、クルーエルは微笑混じりにつんと突いてやっ…
「ねえ、クルーエルさん」 まぶたを閉じたままのクルーエルを、ネイトはじっと見据えた。 「もし僕が……おやすみなさいじゃなくて、おはようございますってキスしたら……クルーエルさんは目を覚ましてくれますか?」 優しい気持ちで泣けるお話でした。この二人…
まだだ、まだ確証がない。 でも万一あれが、クルーエルさんからのメッセージだとしたら。 全ての、彼女を取り巻く何か。 僕はまだ、何か大切なものを見落としてる? 優しさで涙しそうになる素晴らしさ。→ 感想
……初めてだったから。 「わたしがミオを助ける。そして、そのミオがきっと触媒を用意してくれる」 「ミオさんが……触媒を?」 「そう。だから―だからキミは、わたしたちを信じてここにいて。ここでキミの歌を詠っててほしいの」 ―初めてだった。 歌を詠って欲…
「あたしは……馬鹿で不器用だから……この道しかないみたい」 その仕草に、見るものすべてが言葉を失った。 あまりに儚くあまりに潔い。 それほどまでに、少女の立ち振る舞いは、紛れもない祓名民だったから。 素晴らしすぎます。最高傑作級〜と言いたくなった…
最後まで意地悪だね。そう言い返す前に 「なんでかな。あなたには意地悪したくなっちゃうのよね」 そこにはあの時のままの、少女がいた。 すばらしき雰囲気の物語でした。今後も期待の作家になりそう → 感想