栗原ちひろ

レッド・アドミラル 宿命は絆を試す

あなたが今、どんな苦しみの中にいるのか、果たして苦しみの中で意思を保てているのかはわからない。でも、できることなら名を呼んでくれ。 あなたが求めてくれている限り、自分はどんなところにでも行ける。 そんな気がしているから。 ああもうすっごい良か…

レッド・アドミラル 新艦長は嵐を誘う

「私は、あなた以外には弱音を吐きたくない」 「自信を持て、ロディア。お前は強い人間だ。自分が弱いって認められるくらいに、強い。俺はここにいる。お前を、信じてる」 今回はいろいろすごかった。ロディアさんが男前過ぎてやばい、まじヤバい!ジタバタ…

アルケミストの誓約 黄金の騎士の恋物語

「俺もそんな感じです。だから今、あなたのために生きられるのが嬉しい。あなたは筋の通った優しいひとだし、俺はそういうひとが好きだ。……ね。俺はあなたを守る自分を誇るから、あなたは自分を誇ってください。俺の女王陛下」 楽しく切なく。ちょっと展開早…

アルケミストの誓約 白金の王女の夢物語

「私は、戦争のことを考えなさすぎた。私も戦争は嫌いだ。父上も、兄上も後悔していらした。私たちが望んでいるのは、完全なる平和に他ならない」 ウィルが途方に暮れて頭を掻いたところで、アンジェリンの声はきっぱりと言い切る。 「だから、私は世界を征…

レッド・アドミラル 英雄は夜明けを招く

「レーン号やマディスのためならともかく、私のためにあなたが命を賭して【旧神】の能力を使うなんて、おかしいじゃないか。釣り合いがとれない」 「釣り合いはとれるだろ」 「どうしてだ」 「俺も、お前がいないと困る」 ロディアの無双っぷりがたまらない…

影詠みの天花 胡蝶の舞と月の記憶

「欠けている?わたしが?」 「うん。理屈じゃないんだ。ただ、今のあなたはわからなすぎる。あなたが何を考えて、何をしたくて、今ここでこうしているのか。そういうことが何もわからなくて、なんだか、怖い」 月長と天花のやり取りがきゅんとする。幼心か…

レッド・アドミラル 潜入捜査は戦乱の幕開け

「私も同じだ。本当は、あなたの傍を離れたくはない。どうしても心配で仕方がない。何かあったら……いや、何もなくても、ただ、あなたの横に居たいんだ」 ロディアさんぱねぇ!いや、ランセも格好いいんだけど、それ以上に男らしくかつ女らしいロディアさんが…

レッド・アドミラル 羅針盤は運命を示す

「じゃ、行くぞ。ついてこい。……死ぬなよ」 「っ、ほんっとうに、あなたは勝手なひとだ!」 「よく言われる」 男装の麗人・ロディアが破天荒な艦長ランセの船に乗ることになる海軍話。近衛騎士時代は、女だてらと蔑まされてた彼女が、同じような視線を受けつ…

悪魔のソネット 永遠の扉は二人のために

私は醜い。私の心は醜い。ジャスティンは思う。何度も、心に刻むように思う。 こんなことを考えるなんて、心が澱んでいる。でも一度考えたことが消えてくれない。駄目だ。もう戻れないところまで来てしまった。もう自分は変わってしまった。 多分これが、恋…

悪魔のソネット 探偵稼業も悪魔の仕事

「また妙なものに目をつけたな。伯爵家の令嬢でありながら普段は城のメイド、そして裏では城を改造した男子校の学校長、さらには魔界の王たるわたしの主。これだけでは飽きたらず、さらに探偵業か?」 探偵と称して除霊したり、子供に振り回される話がとても…

悪魔のソネット 豪華客船は悪魔と一緒

「そんな……そんな、ことは、私、ただの女の子で、あなたみたいなすごい悪魔を縛りつけるのは、嫌だ……」 「お前はとうにわたしを縛っている。それを罪だというのなら、お前はもう罪人だ」 シェルズバーンの生徒達のたくましいこと!学校対抗模様がほんと楽し…

世界画廊の住人

「絵って一体なんなんだ、どういう仕組みなんだ?絵ってのは、どれも中に入るとあんなふうに世界が広がっているのか?」 これは素敵なファンタジーだなあ。「絵」を通じて見せられる真実と、それを乗り越える可能性が良かった。アイカがとても素敵。→ 感想

悪魔のソネット 男子校で秘密の召喚

「闇は闇だ。原初の闇だ。お前たち人間が言葉を覚え、文明を求め、科学にすがったせいで闇は濃縮され、お前たちの中で永遠の渦を巻いている。それは一見、見知らぬもののように見えるだろう。しかし恐れるな、闇はいつでもお前たちの傍らにあった。増えもし…

レプリカ・ガーデン 水葬王と銀朱の乙女

「でも、ひとを愛するのは苦しいです。だって、結局失うじゃないですか。私は、愛したひととは永遠にしあわせに、ずっとずっと一緒にいたい。でも、永遠なんて無理ですよね?」 あー、惜しい。ほんと惜しい。あそこさえ気にならなければ、ごろごろしまくれる…

悪魔のソネット 美形悪魔は契約しない!?

「主人か……。好きな響きじゃないなあ。どうやったら私と魔法書との契約は解けるの?」 「詩の最後の二行を読めばいい」 「……あの、最後の二行に読めない箇所があるんだけど」 「だったらお前が死ぬまでは契約が続くな」 超美形な悪魔と超美形が苦手な女の子…

オペラ・アウローラ 君が見る暁の火

(だけど、助けなんてこない) 世界を救うのは自分なのだ。 胸に灯る温かみをくれたひとがいる、この世界。 (この世界にあなたがいるから、私はぎりぎりまで行こう) 素晴らしい最終巻でした。超オススメ!→ 感想

オペラ・メモーリア 祝祭の思い出

「どうしてそういうことをする!お前、魔法使うの怖いんじゃなかったのか!」 「怖い……けど……」 「けど!?」 「カナギ。本当に……幽霊怖いの?」 ミリアンがカナギをからかうなんて!あー楽しかった。電車で読むと怪しい人度が倍増します。 → 感想

オペラ・グローリア 讃えよ神なき栄光を

唇がほころぶ。心がほころぶ。あのひとは生きている。生きて、まだ自分の名前を呼んでいる。シュナルはその声がとても好きだ。本当に、好きだった。 シュナルはすがすがしく笑って言った。 「ありがとう、愛しているわ。― さようなら」 思いが届かないとは、…

オペラ・ラビリント 光と滅びの迷宮

「あんな奴、ただの他人だ!!」 「は……ぁあ?他人って……お前さん……その、ただの他人のために、何やってんだ?」 「他人のために命がけになっちゃ悪いおか?戦友とか仲間とか家族とか言えば納得するのか?冗談じゃない、気色悪い!……いやまあソラは仲間って言…

オペラ・エリーゾ 暗き楽園の設計者

「君に祝福と、ひとつの予言をしましょう、カナギ。君は笑うかもしれませんが、わたしには、君の心が見える。……本当に見えるのです。君の心は善くも悪くもなく、青銀に火花を散らし、ときたますさまじく美しい。君は己の心を明かりとし、君の心が恐れを抱く…

オペラ・フィオーレ 花よ荒野に咲け

「でも、私の、石の中、は。花咲く荒れ野で、花は何の役にも立たないし、ひどい場所で、私の他に誰もいなくて、寂しくて」 「何を言っとるか!荒れ野なら、耕せ!」 「耕……す?」 心の中をどうやって耕せというのだろう。呆気にとられたミリアンに、教主は続…

オペラ・カンタンテ 静寂の歌い手

「どうしてお前は、目の間にいると腹立つことしか言わないんだ!」 「腹を立てるのは君の勝手です!」 「ああそうだとも、そのとおりだ!死にたがるのはお前の勝手、そんな奴でも助けられるうちは助けたいのが俺の勝手だ!さあ立て、立ってそこから下りてこ…

オペラ・エテルニタ 世界は永遠を歌う

「とかく帝国は魔物と呪いの知識を独占したがる。けれどわたしは権力とは関係のない放浪の詩人です。役人や軍人にわたしの歌を殺すことはできません。あなたの話が歌となれば、民草の間に千年歌い継がれることもある。……後の世の誰かのために、話してみませ…