花田一三六

双帝興亡記 戦塵外史 六

「これから慌ただしくなろう。戦もつづくに違いない。あるいは志半ばで―」 「陛下」 無礼を承知で一歩詰め寄り、言葉を遮った。 叱責は、なかった。 「だから、そのまま忘れないでくれ。せめて、お前だけは」 夢半ばにして皇帝の孤独を味わった男と、皇帝で…

戦士の法 戦塵外史 五

「ここは傭兵を紹介するところだよ。子どもの働き口を探すなら別の店だ」 「わたしはここに用があるから来たのだ」 あえて部門の硬い言葉遣い。呆気にとられた男たちを尻目に口入屋の奥へ。 「わたしの足手まといにならない者を、用心棒として雇いたい」 十…

新天地 <ノイエヴェルト> 創世の契約 5

「レスティ……」 東を ― 大山脈を睨む。 「必ず、あそこへ連れて行ってやるからな」 竜族の語る真実にびっくりしたけど、最後はハッピーエンドで良かった。個人的にはもうちょっとのろけ話が見たかったけど!→ 感想

巡歴者 創世の契約 4

創世の契約 4"> 「そこで鳥族を探したいのよ」 犬族の女は提案した。 「どこの誰か、名前もわからぬのに?」 猫族の男は訝った。 「ひょっとして、普通の鳥族ではないんですか?」 人族の男は身を乗り出した。 犬族の女がうなずく。声を潜めた。 「龍族に会…

傭兵王 創世の契約 3

創世の契約 3"> 「あんたは。捜査の都合で、どうしても仲間や知り合い、身内に話をしなければならないとき、話を聞かなきゃならないとき、どうしてきた?」 「耐えます」 即答だった。 「耐えられるものかね?」 「できるかどうかは問題じゃない。耐えてなき…

豪兵伝 戦塵外史 四

「彼らは耕し方を知っている。麦の育て方を知っている。これは、わしらが持っていない能力だ」 部下二人を見た。若いが馬鹿ではない。意味するところはすぐに理解した。 「申し訳ございませぬ」 ダガードは、ゆっくりとした微笑を浮かべると、諭すようにいっ…

鋼の風 創世の契約 2

創世の契約 2"> 「お前、なにか勘違いしてるだろ?」 兄隊長が笑いを堪えながら話を継ぐ。 「団長はたしかに見かけも言動もがさつだが―」 余計なお世話だ。 「使えない奴は捨てると言って、捨てたことは一度もねえ。ようするに、使える場所へ動かすだけだ。…

大陸の嵐 戦塵外史 三

「要は『人の心』です」 親兄弟さえも疑う乱世において、他国との約定など塵芥のようなものである。それでも妥協しなければならない。 「信じなければ始まらないのです。信じてもらわねばならないのです。では、どうすれば良いのでしょうか。それには『私』…

龍族 創世の契約 1

「私は理不尽な至高より」 マルセルを見つめながら、ヒルファーは続ける。 「そうやって心配してくれる一人の友人のほうが大切だ」 あーもう、素晴らしい!こういうお話と出会えるから、読書ってやめられないです → 感想

八の弓、死鳥の矢 戦塵外史2

「フーシェ」 「はい」 「俺は甘いか」 問いに、フーシェは頼もしさを感じた。自分の行動を他人に評価させるのだ。心に余裕がある証だった。 「お甘い」 フーシェは、間髪いれずに返答した。 「ですが、人には好かれましょう。王には必要なことです」 一気に…

曙光の誓い

「いき……てる?」 「うん。父さん死んじゃったけど、僕はまだ生きてる。なにができる。約束を守れるって思えた」 それが、いまの勝太郎を突き動かしているのだろう。 「見つけよう。僕も手伝うから」 君のできる、なにか、を。 少年少女の冒険活劇物語です →…

野を馳せる風のごとく 戦塵外史

この人は本気で言っている。と、フィアナが怪物でも見るような目つきになった。 「ひとつ、派手にやろうじゃないか」 ダリウスが食卓に身を乗り出す。 この男は、本気で一国を奪うつもりなのだ。 たった五人で。 魅力的な人物の英雄譚っぽい架空戦記もの。面…