手島史詞

影執事マルクの契約

「それでは、<アルス・マグナ>に思い知らせてやるとしましょう――」 「――ヴァレンシュタイン家に仇なすことが、どれほど割りに合わないことか」 まさに最終巻という感じの盛り上がり!オールキャスト大活躍で面白かった。→ 感想

影執事マルクの恋歌

「自信を持って進む人間には、周りの人間も勝手についてくるものよ。それは、恋愛ごとでも同じこと」 「だが、それで私が間違えていたなら?」 「それでも進みなさい。それを止めるために、あなたの執事はいるのでしょう?」 ああつまりこれは、勇気を得るた…

影執事マルクの決断

「私は未来が欲しい。過ちには償いを。契約には対価を。私たちはなにかを得る代わりになにかを失って、それを覚悟することで前に進むのではないのか?」 とりあえず女装マルクの悲劇に笑いましたが(今回一番満足したのは、セリアだと信じてる)、それぞれが…

影執事マルクの彷徨

事態が収拾したらしいと悟り、マルクはその場から姿を消した。 今見た幻―ヴィオラとリカルド―二人が確かに未来へ繋いだ夢を守るため。 <精杯の姫>の夢を終わらせるために。 そして、自分自身の恋に答えを出すために。 本編が気になっているので、短編集で…

影執事マルクの道行き

「生意気」 最近女装ッ子が多いよね……それはともかく、マルクに厳しい料理人セリアの過去がみえるお話しでした。もしアルバがいなかったら、マルクにもうひとつフラグが立つところだったと思うと、危ない危ない。エルミナを思い、カナメに揺れる男もアレです…

影執事マルクの秘密

「それは、我が主の望みではございません」 「主の望みかどうかではない。お前が望めばそれを与えてやれるのだ、と言っている」 それでも、マルクは首を横に振った。 「それでは、エルミナは笑ってくれません」 ドミニクの過去を交えつつ、マルクの恋に揺れ…

影執事マルクの覚醒

「マルクさん……。マルクさんの方こそ考え直してくれませんか?」 ただ、前と決定的に違うのは― 「マルクさんがいなくなったら、みんな悲しいです」 主を裏切ったのが、マルクだということだった。 姉妹のすれ違いから始まる分裂。まさかの苛烈な展開にどうな…

影執事マルクの迷走

マルクがホッと胸をなで下ろすと、ドミニクが何か思い出したようにポンと手を叩く。 「ああ、でも、今日はアイシャもいっしょに行った方がいいと思うよ」 「何故、そのような危険を?」 「……あの、マルクさん?今、危険って」 アルス・マグナが見せる過去の…

影執事マルクの忘却

「おんしは卑怯じゃ。私のことをどう想っているか、それくらいハッキリ言わぬか」 カナメとエルミナを意識するマルクの様子にニヤニヤがとまらん。鈍い男だと思ったけど、ちょっとしたトラウマがあったのね。とはいえ、いとヘタれですけど。せつなき思いを見…

影執事マルクの天敵

「カナメが怪我をしたのは半分は私の責任ですし、屋敷に誘ったのも私です。面倒を見るのは当たり前です。なにより、あの娘が挙動不審なのは、刃物にさわれないので禁断症状が出ているだけです」 「え、でも、あれはどう見ても……。もしかして、マルクさん、鈍…

影執事マルクの手違い

「この街になくなられると、せっかくお嬢様に買っていただいたメガネもなくなってしまいます。私がお嬢様の足になります。ですから、私の目になっていただけませんか?」 エルミナは驚いたように瞬きをし、それから幽かに表情を和らげたように見えた。 「………

影執事マルクの手違い

「ですから、他に大切な方を作られた方がよろしいかと思います」 「……気軽に言うのだね」 「それはそうですとも。目の前にいるのですから」 エルミナは怪訝そうに目を細める。 「アイシャは、あなたのために笑っているのだと思いますよ」 暗殺しにきたのに、…

沙の園に唄って

女性が耳を傾けると、声はこう言っていた。 ― 私は?希望?です。どうか、ここから出してください ― 彼女は災厄を解き放った。しかし彼女が箱を開けなければ世界にほんの一欠片も希望は存在しなかった。 「昔からあるお話ですね」 「それが、どうしたっていう…