日日日
「負けないよ」 これまで、わたしを守ってくれていたみんなと、こうして敵対するのは不本意だけど。今回だけは。 意地でも、わたしは、がんばらない。 がんばらないといいながら、ささみさんが頑張ってました。一度は失った母と向きあい、まっすぐな言葉で理…
「……もうだいじょうぶですよ、ささみさん」 お兄ちゃんは変わらない態度で、優しく微笑んでくれた。 こんな、わたしに。 「お兄ちゃんが、ささみさんを守りますから」 知ってる。 ぐだぐだだと思ったら、何ですか泣かせやがって。ささみさんがんばったよ!→ …
「『がんばる』のと『無理をする』っていうのは、意味がちがうぜ、鎖々美」 つるぎがわたしの手をとった。 「おまえはまだガキなんだからさ、ひとりじゃ辿りつけない場所には、誰かに支えてもらいながら歩いていってもいいんだよ。到着しないよりずっといい…
「どういうこと?」 「わたくしは人造人間ですから」 紅茶に口をつけ、熱かったのか舌をだして、ビスケは滔々と語った。 「わたくしは、あなたと同じ病に罹患した患者を、継ぎ接ぎすることで誕生した人工的な人間です。屍体を繋いだ、まさにフランケンシュタ…
失敗することもある。でもやり直すことはできる。 憎みあうこともある。でも、そこから絆をつくることもできる。 それが、あたしたち子どもの強さです。 ママ強すぎてパワーバランスがアレ?って感じだったけど、大団円で良かった。→ 感想
「ねぇ伊依、あちきだけは言うわよ。ほかの誰のためにでも、伊依が損なわれたら嫌よ。みんなのためじゃなく、自分のために生きるのよ。どれだけ叱られても、そんんおわがままだって思っても、それが絶対に正しいんだから。危ないと思ったら逃げてくるのよ」 …
「だけど。馬鹿だけど。うちも負けるわけにはいかない。いつも信じてもらえないけど、うちだって必死なんだ」 怖いくらい真摯に、ちいさく囁いた。 「悪魔は人間には負けない。そう信じて、思い込んで、今日、うちらは勝利する」 解けた魔法が甘さを見せなが…
「伊依」 突然の来訪に戸惑っている伊依を、舞弓は真っ直ぐに見つめて宣言した。 意味は伝わらないかもしれない。でも、言いたかった。 「すぐに私は追いつくぞ!」 だから。 挫けずに。諦めずに。傷つかずに。負けずに。 そこで戦っていてほしい。 すぐに。…
『どういうことですか!? ミリオン様!?』 ミリオンの声に何かを察したが、雷蝶が悲痛な声で叫んでくる。 『まるでこれから死ぬみたいな――』 まだまだ序盤かと思いきや、いきなりミリオンの秘密が?不吉な予言らしきものがどういう意味か気になります。 → 感想
「最低だわ。あなた」 「褒め言葉として受けとっておきますわ、魔女の生徒会長」 魔王は鼻で笑い、配下の魔物たちに宴の開始を宣言した。 ぐるりと回って着地した感がありますね。この様子だと、あと何冊かでシリーズまとまるのかな?→ 感想
「安心して。頼もしいことにこの優歌様は全知全能だよ!」 …………………。 …………。 「……え、えへへ。いっぺん言ってみたかったんだよ……?」 わりと王道な*1友情ものというか家族ものというか、そんな短編集でした。結構好き。→ 感想 *1:日日日換算で
「家族は、いちばん近くにいる他人です。遠くからじゃ……届きません。近づいて、抱きしめて、言葉を交わさなくちゃ。それはいちばん傷つきやすい距離ですが、自分も痛みを背負う覚悟もないなら……もう家族じゃない」 「傷つくのも痛いのも距離が近い証拠です。…
「目が醒めたわ、呆れ果てたわ。惑星の支配者?それがあなたの望み?そんな大層な望みを、そんな程度の覚悟で叶えられるとでも?甘えた性根、叩き直してあげないと駄目なのかしら……?何かを望むってことは。何かを夢見るってことは・・・…!」 そうして魔女の瞳…
好き。 あらためて口に出されたその言葉が、なんだか幸せだった。 胸の内側に嬉しさが広がって、あんなに美しい夕焼けも、見えなくなって。 「これまで、ずっと守ってくれてたね」 独り言のように。 「これからも、ずっと守ってくれるかな」 伊依の恋愛模様…
『たいじゅうが、へるのは……めいろをクリアした、ひとりだけ』 あたしとマリマリは、その言葉に思いっきり見つめあってしまう。体重が減るのはひとりだけ?それはつまり……」 『あなたか、そこにいるだれかが、どちらか……めいろをさきにクリアしたほうの、た…
「悪魔なんか……いるわけない。魔法なんか使えない。男の子が―無駄に死んだだけ……何の、意味もない」 「そうかもね」 シロオは哀しそうに笑った。 「でも。捧げてしまったのだから」 その足取りに、鬼気が満ちる。 「誰に何を言われても、女の子は魔女なの」 …
重い。怖い。逃げてしまいたい。 けれど、ここで逃げたらもう二度と、戦場には立てない。 傷つくのも、苦しいのも、喪うのも、もう嫌だけど、何もできないままぜんぶ終わってしまうのはもっと嫌だ! 初めて後ろ向きな弱さを見せた伊依が印象的でした。「魔王…
「狂乱家族の『母親』は……私でなく貴様ということだ!へん、仲良しこよしで宜しいかぎりだな!せいぜい末永くそんな感じでいるのだな!殺伐とした世界だ。貴様らのようなのがたまにはいてもいい!」 そうして颯爽と、自称破壊神は勢いよく宇宙船を飛びだして…
さて、どうするか。 目を細め、あたしが油断なく周囲を睨みつけたその直後。 「ちゅーーーーーーーーーーー★♪」 まさに希望を告げる天使の福音みたいに、聞き覚えのある素っ頓狂な声が響きわたった。 ていうか……遅いぞ、おまえら。 世界を守るために悪いやつ…
『無城の物造、虚島のヴェクサシオン、そして志田桐は……魔王の研究だ。この意味がわかるな?』 伊依は目を見開いた。魔王の研究?それは ―。 『志田桐は、あらゆる意味で、天敵ってことだ……俺たちのな』 これで第二部終わりです。いろいろわかって、いろいろ…
いつだって、僕はただ流されるだけだと思っていた。 へらへら笑って、その場しのぎで、誰も救えず、誰も守れず。 けれど僕の言葉は、奈々子に届いていた。 奈々子が好きだと告げてくれたのが、その結果なら―僕は、偶然のように掴み取ったその主体性を、手放…
「そんな顔をするな。凶華様は大丈夫だ。べつに貴様らを役立たずだと思っているわけでもない。凶華様が安心していけるのは、貴様らが待っていてくれるからだ。きっちり過去の膿を取り除いて、きれいな身体で帰ってくるよ」 そして、いつもの台詞。根拠不明で…
「伊依は伊依の夢を真っ直ぐに追いかけてればいいの。たとえ周りがどれだけ変わっても、騒いでも、そんなの ― 些事だわ。それに、覚悟してなかった事態じゃないでしょう?」 そうだ。変な目で見られるのは慣れている。自分はそんな周囲の視線に負けず、これ…
「わからないなら、簡単に言ってあげる」 今度こそ死ぬかもしれない。実感がある。けれど恐怖はなかった。不思議なほどに。 「神様にならなけりゃ……幸せになれないなんて」 もう言葉は要らない。 「愚かね」 いい盛り上がりの最終巻でした。もうちょっとオチ…
「言いたいことはそれだけ?坊や……、お嬢ちゃん……、人情だけでどうにかなるほど、この世は優しい作りになっちゃいないのよ?不幸なんざ、どんな人間でも背負ってるさ、それをどれだけ並べ立てても無駄だ!意味ねぇんだよ。あたしが聞かせて欲しいのは」 地獄…
「諦めよう!」 「山田って本当に馬鹿!ちょっとあなた、前言を撤回するの早すぎでしてよ!成功率がゼロじゃないならやってやれじゃなかったの!」 「成功率なんかゼロに決まってるだろゼロに!勝てるかあんな反則みたいな兵器に!」 「山田の馬鹿ぁーーー!…
御伽噺のお姫様は戦死だ。守られるだけの弱い存在だと思っているひとも多いだろうが、シンデレラも、白雪姫も、人魚姫も、かぐや姫も、どんなに苦しくても負けない、不屈の心をもっていた。 舞弓は彼女たちに憧れた。今でもそんな強く美しい存在への憧憬は消…
「私?私は、見てのとおり、考えなくてもいいことばかり考えて、考えつづけ、いつまでも大人になれない、そうね、ピーターパンみたいなもの―かしらね」 自分でもよくわかっていないみたいです。その仕草がなんとなく可愛らしくて、私はくすくすと笑いました…
「ゼキくんは、何を求めているの?」 「……」 「その目的っていうのは、私の笑顔より素敵なもの?」 悲しいまでに残酷な展開。次なる最終巻が待ち遠しいです → 感想
大切なものが傷つくのは、どれだけ体験しても慣れぬのう。痛いのは、苦しいのは、哀しいのは、耐えられぬ。逃げたい、避けたい、そう思うのが万物に共通の本能じゃ。 けれど、帝架よ、そなたは逃げずに痛みと向きあったな?大切な友へ正直な気持ちを述べ、そ…