師走トオル
「アレス、命令だ」 クラウディアのそれは、独り言ではなく、命令だった。 「この国の戦乱を終わらせよ。そして、一人でも多くの命を救うのだ」 いやあ面白かった。アレスの活躍のみならず、配下についた者たちそれぞれの戦いが、戦力差を埋めていく展開が熱…
「たしかにこのスペランカーは非常に高い難易度を誇り、ユーザーを選ぶ。しかし、このゲームにもこのゲームなりの面白さというものがある」 「……わかります。なんだかんだで、やってる間は僕も楽しかったですから」 「そう、そうなのだ!」と瀬名先生が叫ん…
「アレスさまが目の前の人々を救い、ジェレイドさまが十年後の人々を救えばいいんじゃないでしょうか」 待ってました、武と智が手を組むこの時を!それぞれの目的を叶えるためにはそれしかないとわかっていたけれど、それでも熱くなるものがある。みなに支え…
「必ず、迎えに来ます!必ず!」 面白かったー。フィリップ、ジェレイド双方に大きな見せ場があって、策士っぷりに驚き、無双っぷりにドキドキだった。でもやっぱりアレスがいないとね!束の間の再会が切ないけれど「約束」があればきっと大丈夫と信じてる。…
「言っておくがな、アレス。毎日のようにお主と訓練していたわしには分かる。お主の剣の太刀筋、戦場での立ち居振る舞い、それはすべてお主の訓練と経験の賜だ。お主から何が失われたかは知らぬ。だが、お主が歩んできた道を否定することは出来ぬぞ。それは…
「アレス……。おまえは一体どこで何をしているのだ……?わたしが、困っているのだぞ。わたしが、泣いているのだぞ……。早く助けに来ぬか、この馬鹿者め……」 黒き悪魔がうまれた!ジェレイドの戦法が悪辣だと思ったけれども、さらに上を行くか。てっきり力をその…
「おまえは別にジェレイドの元に駆けつけたときから<風の戦乙女>を名乗っていたわけではないのだろう?」 「そうよ。その後にちょっと色々あって、こんな格好をするようにまでなったの」 言って、ミーアは服をつまんでみせた。思わずアレスは目を背けた。 …
「そんな身勝手な理屈が通ってたまるか!」 「わたしも同感です。あなたの怒りはもっともです。ですがこの戦いは恐らく、どちらかが甚大な犠牲を支払わない限り、決して終わるものではないのです。あなたはあなたの正義を信じ、わたしたちはわたしたちの正義…
「いえ、僕は部隊を送り込むとは言っていませんよ、最強の兵を送ると言ったのです。僕たちは共に所有しているではないですか、たった一人でありながら、何十、何百という敵と対等に戦える兵を」 「……まさか」 「そうです。<風の戦乙女>と、<赤の悪魔憑き…
「よろしいのですか?」 「は?」 ジェレイドは小首をかしげた。 「すいません、どういうことでしょう?」 「私を止めるのにたった一万でよろしいのかと、そう申し上げているのです」 クラウディアの誇り高さと、クラウディアを守るときのアレスの恰好よさに…
これはないだろう、常識的に考えて。 レオンは心底そう思った。 辺りを見渡す。森に覆われた道。周囲にいるのは自分を含めて四騎だけ。 アレス、ドワーフのガルムス、近衛騎士のローランとかいう騎士。 「千人の敵をたった四人で迎え撃つって有り得ないだろ…
「せめて、先ほどの光景だけは脳裏に焼き付けておくとしましょう」 今も彼の断末魔の叫びが耳に残っている。そして恐怖に歪んだ表情も。 これが人を殺すということなのだ。今後、自分はこれと同じ事を他人に強制することになるのだ。 決して忘れはすまいとあ…
≪さて、そこでだ≫ このとき、アレスは思わず背筋に冷たいものを感じることとなる。パンドラの顔に、あの悪魔のごとき不気味な笑みが浮かんでいたからだ。 ≪我が契約者よ。我は汝の願いをかなえるためにここにいる。さて、そこでだ。もし、クラウディアとエデ…
「聞け、アレス。わたしには王女という運を拾った者の義務として、叶えたい三つの夢があるのだ」 「……どんな、どんな夢ですか」 少年が問いかける。 王女は空を見た。空が好きな王女だと、少年は思った。 その口から三つの夢が紡がれる。 「子が腹を空かせぬ…
「わけわかんねえよ、ジジイ。裁判所ってのは強制力を持った弱者の味方じゃねえのかよ?それなのに費用ばかりかかって回収の見込みもないってのは一体どういうことだ?」 「それがこの国の裁判制度なのだ。そんなのは少しばかりこの職業で食ったことのある者…
「富士見の作家さんってそんなに関係各機関から恨まれてるんですかっ。それともこれは富士見須を亡き者にしようとする○撃文庫の陰謀ですかっ。編集長、なにか心当たりはありませんかっ」 「ごっめーん、ないや!」 この桃色ネクタイ、何のために登場してきた…
「……わかった。任意同行には同意しよう。ただし―」 「ん、何かな?」 まさかこのセリフを俺が口にするときがくるとは。 「弁護士を呼んでもらおうか」 殺人容疑で逮捕された山鹿の逆転裁判!→ 感想
…………そういうオチでいいんですか? 四篇からなる短編集第三弾 → 感想
前回の事件の弁護で疲れていた俺は年内はゆっくりすごそうと決めていた。 クリスマスも近いことだし。雪奈とも;・・。 そんな気分を吹き飛ばしてくれたのは弁護士会副会長の竹田。 よりによって国選弁護人として殺人を自供している被告の弁護をしろだなんて…
未だかつて負けたことが無い。 一尺八寸が弁護士見習いとして、修習先を不敗の山鹿弁護士に選んだ理由はそれだった。 だが本人を見て、唖然とした。こんな人だったなんて・・・。 気がつくと雑用を押し付けられていた。 そんなある日、皐月が学級裁判の話を…
皐月との出会い(不運?)を描いた「壊れた時計でもうける方法?」からクラス内のもめごとを学級裁判で決着をつける「はじめてのさいばん」等、六篇からなるシリーズ初の短編集。 短編では雪菜が出てこない。皐月はほぼ毎回からんでくるけど。 学級裁判以外…
前作で無罪を勝ち取ったと思ったら、また別の殺人容疑で逮捕された依頼人。 しかも今度は妻と一緒に。 場所が遠いとはいえ、このままではせっかく助けた意味がなくなってしまう。 しかたなしに弁護を引き受けたが、今度の相手は以前自分を窮地に追い込んだ東…
皐月が商店街の福引で当てた旅行。 いつものメンバで訪れた温泉には、何のいたずらかかつての悪友、氏神が泊まっていた。 しかも美人の奥さんをつれて! いつしか皆で和気あいあいと休暇を楽しんでいたが、そこへ旅館の主人から声をかけられる。 「つい1時間…
マルチ商法にはまってしまった友人を助けてほしい。 普段なら受けない仕事だが、何の気なしに引き受け、そして解決した山鹿。 だが、今度はその男が殺人事件の容疑者として逮捕された。 弁護を引き受けた山鹿だったが、相手側の検事がすこぶる切れる人間。 …
久しぶりに休暇が取れた羽田。 小説家の叔父の家に行くと、弟子の佐野、小伊木が歓迎してくれた。 そんな安らぎのひと時は、叔父の殺人事件で終わりを告げた。 管轄外ではあるが、ここで点数稼ぎをしない手はない! 推理の結果、犯人を突き止めた羽田。そし…
お手伝いとして働いている姉が窃盗の罪に問われ捕まっている。 そんなことをする姉でないことは自分がよく知っている。なんとかしてほしい。 皐月のクラスメイトは言う。 そんな慈善事業なんてやっていられない。 そう思ったが、雪菜のまなざしに負け、弁護…
今まで一度も負けたことが無い弁護士、山鹿善行。 ある日、そんな彼の元へ幼馴染の雪奈から電話がかかってくる。殺人容疑でつかまったと。 彼女がそんなことをするはずがない! 状況証拠はどう考えても彼女に不利だが、そこは口八丁でカバー。 あとちょっと…