築地俊彦

けんぷファー(12)

「簡単に言うと、忠誠を誓ってもらうの。今までの赤と青の対立が、雫ちゃんによってうやむやになったじゃない。だから最初からやり直すの」 「わたしとナツルは、赤と青の代表ってこと?」 「ちょっと違うわ。決着をつけるのはナツルさん一人だけでいいの」 …

けんぷファー(11)

紅音の瞳はもはやピンク色だった。いつもなら殺意か狂気のどちらかに支配されているのに、男に身を任せた美少女という表現がぴったりだ。 ぽつりと呟く。 「……しても、いい……」 はい? 「しても、いいから……」 ああ、なんてイライラする展開。ナツルの鈍さは…

けんぷファー10 1/2

「なあ会長……」 「なあに?」 「どうしてあんなことすんだ」 「どんなこと?」 「その……足で」 「あなたが喜びそうだったから」 「喜ばねーよ!心臓が止まりそうになったじゃねえか」 「嘘ばっかり。気持ちよかったんでしょう」 コミカルな短編が二作と、雫…

けんぷファー10

「この瞬間にあたしが存在している。それだけは確かだ。そのことをお前に覚えておいて欲しいんだ」 女の子達のナツル争奪バトルが楽しいですが、沙倉さんのお家訪問から一転してシリアスになってきた。「彼女」の行動のおかしさに早く気づいてくれれば・・・…

戦嬢の交響曲(7)

「……俺は別に、意識してやってるわけじゃない」 「でしょうね。じゃあ、あらためて意識すると、どう?どうして雪風にここまで、忠誠を尽くせるの?」 最終決戦前のイベントはとても良かった。その分、最後の戦いがちょっと……と思ってしまうのは、青さを感じ…

けんぷファー(9) 1/2

「ナツル、分からないふりはやめなさい」 泣きたくなった。怖いんですけどこの女性。 「じゃあ理解するまで、何度でも言ってあげるわね」 「いや、そこまで……」 「私の恋人になって」 水琴のギャップに激しく萌える。普段はクールな雫も、不安があるとちょっ…

けんぷファー 9

「もっと見たいですか」 にこりとしながら彼女は言った。俺は水飲み鳥みたいに頷いた。端から見たら、さそがしみっともないに違いない。 「ここから先のご褒美は、雫ちゃんを落としたらです」 沙倉さん魔性の巻。そんな中、みんながナツル好きっぷりを見せて…

戦嬢の交響曲 6

「わたくしたちの大事な仲間です!敷波さんはなくてはならない人なんです!寝食を忘れて鍛錬し、新しいメソッドを授けてくれました。章義舎がどれだけ助けられたことか……!」 「古盾」 「愚弄なさらないでください。八班、章義舎全体、なによりわたくしに対…

けんぷファー 8 1/2

「会長と水琴はおめえとデートできて、なんであたしはできねえんだよ!」 「別に理由はないんだけどな……」 「理由がねえってことは、おめえはこだわりがないのか」 「そういうことになるな」 「じゃあ、あたしがおめえとデートしてもいいんだな」 「いいよ………

まぶらほ またまたメイドの巻

「どこまで悪魔なんだ!」 シンシアが怒鳴る。夕菜は可愛らしく頬を膨らませた。 「ひどいです。女子高校生を捕まえて」 「お前は全てのメイドにとって敵だ!」 「光栄です」 夕菜が出てこなければと思ってしまう僕がいる。リーラ素敵だよリーラ。 → 感想

けんぷファー 8

「……あたしにも同じことをしてください」 は? 「それはどういう……」 「会長や沙倉さんにしたことです。あ、あたしだけなにもしてないのは不公平だと思います……」 「するって……」 さすがに紅音は言いよどんだ。 「キ……キスを……」 やばいぐらい会長が萌えさせ…

戦嬢の交響曲 5

「人間、災難に見舞われるまでは、自分がそんな目に遭うとは思わないものだ……」 「それは……」 「不幸が二回は多すぎる」 意外すぎる展開だなあ。ここまで雪風が崩れるとは思わなかった。さて、佑鹿は支えていけるのかしら。 → 感想

けんぷファー 7

「なによあんたたち、付き合ってるわけ!?」 「付き合ってない……」 「付き合ってないわね」 俺の台詞に雫が言い添える。助かった、と思ったらやっぱり違った。 「これから付き合うことになるから」 「きゃー!」 やばいぐらい会長がかわいいんですけど!ク…

戦嬢の交響曲 4

「あと、荷物が多すぎるわね。ちょっと下ろした方がいいわ」 「え……?」 「敷波君も雪風も、知らないうちに背負っているものが多くなっているのよ」 最後の数ページで一気に動く物語!これは次にどうなっていくのか、すっごい楽しみ。→ 感想

まぶらほ 凛の巻

「ヴァレーリア大尉が彼女の捜索をはじめたとき、あたしは真っ先に志願した。あいつが人を殺したのは事実だ。だったら、あたしが捕まえるまでだ。捕まえて、中隊に連れ戻す。それから……」 彼女はぼろぼろになったタバコを、灰皿に捨てた。 「それから……分か…

けんぷファー 6

「証明して欲しかったら、私を雫って呼びなさい」 「えー……」 「早く」 「わ、分かったよ。えーと……雫さん」 「呼び捨てで」 会長の策士っぷりにニヤツキが止まらない!→ 感想

戦嬢の交響曲 3

「彼を生かせない人間の目が節穴なのよ。人を生かすのも班長の役割じゃないかしら。もちろん生かせないで殺してしまったら、班長の責任」 「……」 「章義舎八班の班長は誰だったかしら。敷波君が班長っぽいことをしていたそうだけど」 「……」 「敷波君は、も…

けんぷファー 5

「だから分からないって言ってるだろ」 「じゃあ教えてやる。その汚え耳をかっぽじって、よく聞くんだ」 銃口がぎりぎりまで接近する。俺は思わず両手を上げてしまった。 「変身前のあたしと変身後のあたしが怒ってるのはな、あー……あたしが……」 お、なんだ…

けんぷファー 4

「立派といえば立派ね」 「ふん」 「まだ私のものにするには色々足りないのね」 「なに?」 「なんでも」 新たなるケンプファーと、会長の怪しい動きに引き込まれます。→ 感想

まぶらほ さらにメイドの巻

「ご安心ください」 そして喫茶店内のときと、寸分違わぬ微笑を見せた。 「メイドにできないことはないのです」 リーラがかっこよくて、惚れ惚れさせられました。まさに真の本編です。→ 感想

神曲奏界ポリフォニカ ふゅーじてぃぶ・ぶるう

「あんたを見てると、精霊を人間の関係について見直したくなる」 「裏切ったりすんなよ」 「しないわよ!何があっても、精霊は約束を守るのよ!」 「俺は守らないけどな」 「人間はいつもそうなの!」 意外にシリアステイストでした。興味深い。→ 感想

戦嬢の交響曲 2

「ある時ね、わたしはあの娘を見限ったのよ。あんな冷たい手をした女と、一緒にいられるかって」 「それは ― 」 「教えてあげる」 彼女ははっきりと、佑鹿の目を見つめた。 「雪風は仲間を傷つけた。あの女は、味方を殺そうとしたのよ」 最近、いろいろなシ…

けんぷファー 3

「あたしがこんなに腹を立ててることだよ。そいつをおめえに分からせてえんだ」 「知ってなんの得があんだ」 また銃口を押しつけられる。 「分かるか?あたしが怒ってる理由だ。たりねえオツムで悩んでみやがれ」 少し考えた。 「……なんだかさっぱりだ」 紅…

神曲奏界ポリフォニカ えきさいと・ぶるう

「俺の金、俺の金、俺の金が!」 「でも……取り残された人はいません。死者がないのが不幸中の幸い……」 「知るか!金がないんじゃ不幸中の不幸だ!幸いといったのはこれか、この口か!」 「むににににに、痛いでふゅー!」 「痛いのは俺の心だ!」 外道のよう…

神曲奏界ポリフォニカ まぁぶる

「ほら、あの言い伝えよ。〝年があらたまる瞬間に、いっしょにいた人とは、新しい絆が芽生える……〟っていう……。あんたなんかといっしょにいて、損しちゃったわ」 「そ、そんな、デイジー……」 おろおろするピースに、デイジーは、そのつんけんした口調とは反…

戦嬢の交響曲 1

「で、俺はどうしていればいい?休むか?」 「いつものままでいい」 お、と思った。欠席しろ、ではないのか。 「普段どおりに戦っていろ。わたしもそうする」 「それじゃチームプレーにならんぜ。戦術とか考えなくていいのか」 「……わたしは一人で戦ったこと…

けんぷファー 2

「……俺を女子部に入れても、いいことはあまりないぞ。敵なんだからな」 「もちろん、知ってるわ」 「じゃあ本当の目的はなんだ」 「ここで言うほど、私は馬鹿じゃないわよ」 またもや会長の手のひらの上?次から次へと降りかかる騒動に笑わされます → 感想

ネコのおと―リレーノベル・ラブバージョン

「富士見の作家さんってそんなに関係各機関から恨まれてるんですかっ。それともこれは富士見須を亡き者にしようとする○撃文庫の陰謀ですかっ。編集長、なにか心当たりはありませんかっ」 「ごっめーん、ないや!」 この桃色ネクタイ、何のために登場してきた…

けんぷファー 1

「ナツル、魔法を使え!」 「……俺、発動方法知らねえぞ」 「なんだとこの!どうすんだ!」 「何かの拍子にできるとは思ってるんだけどなあ」 「こういうのは集中力だ、集中力!おめえのトンマな手のひらで、犬のクソを掴むようにしてやってみろ!」 どんなや…

まぶらほ ストレンジ・フェノメノン

「心配しても仕方ありません。私たちは自分たちのできる範囲で、全力を尽くしましょう。そうすれば道は開けるはずです」 「それ、あんたの実家の家訓?」 「いえ。今思いつきました」 「卒業するときに、文集に載せると評判になるわよ」 すっきりしない終わ…