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ノーブルチルドレンの告別

「麗羅は市夏の何処を好きになったの?」 「……夏が好きだったんだよ。多分、そういうことだ」 なんて不器用な人たちなんだろう。それぞれの家族に降りかかった出来事は、たしかに悲劇だと思う。それゆえに歪んでしまった思いは、止めようがなかったとは思う…

彼女は戦争妖精(9)

「伊織さん……あなた、これからどうするの?」 「行けるところまで行きます」 「このまま戦い続けるってこと……?」 ひとつ区切りがつき、それでもまだ戦いは終わっていない、か。いつかは見つかるかもしれない可能性を胸に、仮にたどり着けなくても、家族を守…

身代わり伯爵の婚前旅行(1) すれ違いの蜜月

「……なんだ、あの二人が仲良しでいらっしゃるかぎり、すべては平和なような気がしてきました」 ミレーユにしろリヒャルトにしろ、お互いが相手のことを思っての行動であることが随所に見えて、微笑ましくなる旅路でした。それぞれの過去を見つめなおすような…

翼の帰る処3(下) 歌われぬ約束

「希望を持つのは、生者の特権なのです。昨日は過ぎ去ってしまっていても、まだ今日があり、明日がある。あなたは風霊ではない。日々の積み重ねが次へ繋がると、理解できるはずです。それが、生きるということです」 ヤエトさんがとてもたらしだった。隠居が…

フルメタル・パニック! アナザー(1)

「だから、アレの感想を聞いているのよ。生まれて初めて乗るASって、どんな感じだったの?」 「それは―」 たとえ僅かな時間、それも借りものであっても、あの時あの<シャドウ>は間違いなく彼の相棒だったのだ。それに嘘をつくことなど、できはしない。 「……

レッド・アドミラル 宿命は絆を試す

あなたが今、どんな苦しみの中にいるのか、果たして苦しみの中で意思を保てているのかはわからない。でも、できることなら名を呼んでくれ。 あなたが求めてくれている限り、自分はどんなところにでも行ける。 そんな気がしているから。 ああもうすっごい良か…

パーフェクトフレンド

「だから友達は素晴らしいんだ」 これは楽しかった!友達はどうやって作るか。どうして友達は必要なのか。そんなことを小学四年生たちが見つけていくお話。もう可愛くて、楽しくて、大変だった。けど、それだけじゃないのは、この著者なら当然のこと。急展開…

鋼鉄の都市と十三月の旅人 ダイヤモンド・スカイ

「昔から、私のことを……?」 「ああ」 フォースが笑顔に戻った。とろけるような甘い笑みを浮かべる。 「愛しているよ、ディアレンシア」 これは……重い。カイエンの事情はわからなくもないだけに、光を手に入れるための方法を間違えたことが、なあ。豪華であ…

羽月莉音の帝国(8)

「あなたがたは詰んでいると私は思う。崩壊は免れえないでしょう。国際商業銀行の破綻は世界経済にも少なからず影響を与えますから、そのときはまた我々のビジネスチャンスでもあります」 「お言葉ですが、そんなことはありません。我々は必ず復活します」 …

カンピオーネ!(10) 槍の戦神

「今、貴様がすべきは決断だ。『最後の王』を前にしてもリスクを冒さず、逃げ去る術を模索するか。あるいは、すべてを手に入れるために最後の切り札を切るか。ふたつにひとつだ」 相容れない似たもの同士の神殺しが同じ地にいたら、そりゃ争いが始まらないわ…

ご主人様はご機嫌ななめ

「待ちなさいパミーナ、やけになっちゃいけないよ!」 「もう他に方法がないの。私、あんな卑怯な男の後妻になるくらいなら―悪魔にだって、仕えてみせるわ!」 楽しかったー!読んでて頬が緩むのを止めることが出来なかった。追い出すためいびるご主人様と、…

マジで危ない九死に一生? フルメタル・パニック!

「ちゃんと言えなかったけど、好きでした」 ああ終わっちゃったんだなあ。でもなんか先を感じさせる物語でよかった。→ 感想

聖グリセルダ学院の試練

「こ、交換日記じゃないなら」 「……何だよ」 「交換日記じゃないなら、キアスくんは両思いになったら何するの?」 両思いになっても、言動がズレてるおかげで、いろいろ楽しかった。我慢の男の子は大変だ。恋だけでなく、友情ものなお話が良いものでした。さ…

暴走少女と妄想少年(4)

「でも」 「武留?」 「一人よりは楽――退屈じゃない…………かも」 武瑠が、ちゃんとヒロインしてる!女の子のみならず、男の子も可愛くて仕方なかった。これは良きラブコメだなあ。→ 感想

聖鐘の乙女 雪の聖画と氷の首飾り

「アティ、約束してほしいな」 「なんでしょう?」 「年が明けて最初の挨拶は、絶対に私が相手だよ?」 「……はああ?」 たんに煽ってるだけかと思ったのに……サリアン様がこんなにも責めてくるなんて!笑顔がうざ眩しい。振り回されることになったネイトも辛…

輪環の魔導師(9) 神界の門

(これが神々……?ちがう!こんなの、ただの―) 「怪物……?」 神話の眷属との戦いと、それを打開する展開に目が離せない。一気読みでした。いろいろなところでつながりが見えてきたけれど、さらに生み出されるものがあるのか……次なる最終巻でどんな結末を迎える…

花狩のロゼ 歌姫は薔薇を殺す

「あなたも、思いっきり、歌って。絶対に合わせてみせるから」 クロードがなにか答える前に続けられた言葉は、 「剣に心を奪われかけても、花の恐怖に足が竦んでも、迷わない。あなたの声だけを聴いてるから」 これは面白かった!愛する人を失った少年が、言…

のうりん

「だいたいさー、あんたいっつも東京行く東京行くって言っとるけど、行って何するつもりやの?」 「トレンディーな農業をやるよ」 「トレンディーな農業!?」 「作物が芽生えるのと同時に恋も芽生えるような……」 「んな都合のええ農業あるかっ!」 田舎の素…

アルトレオの空賊姫 暁天の少女と世界の鍵

「ヴォーパルだよ。帰りの荷物持ちがかかってただろ?オレは八つとってきた。ヨシュウは?」 「六つ」 「ヤフェトは?」 「俺は、女の子が一人」 「…………はあ?」 これはいい。記憶を失ったことから、自信なさ気だった少女が、だんだんと前を向く姿が素敵。ま…

デュラララ!!×(10)

「いえね、私も、前々から興味があったんですよ」 澱切と名乗った老人は、優しい笑みを浮かべたまま、静かに言葉の続きを告げる。 「ダラーズとかいう、実に若々しい、健全な集団にね」 もう何がなんだかと言いたくなる。いろいろ絡み合ってるけれど、まだま…

ユニコーンの恋文

どうしよう、……どうしよう。 ばかだ、私。やっと気づいた。こんなに、この人のことが好きだった。 真っ直ぐな思いがキュンキュンだった!意識するまでは踏み込めて、意識してからは踏み込めなくなって。募る思いの描かれ方が好き。最後はお約束ながら、うん…

断章のグリム(15) ラプンツェル・下

『うふふ、責めてないわ。大切なものって、そういうものよ』 『誰もが持ってる大切なものは、そのために自覚的無自覚的に他のものを犠牲にして、その屍の重さでどんどん重くなっていくのよ』 『それで気づいた時には……もう重くて、両手から下ろせなくなって…

ゴールデンタイム(3) 仮面舞踏会

「一度言いそびれた言葉って、なぜかどんどん毒素を出すんだよ。なんてことない話でも、貯めておくと有害になるの。時間が経つほど、やばくなる。なんでもさらーっと言えれば、それが一番マシなんだ」 感情なんてものは、すっきり線が引けるものじゃないから…

双帝興亡記 戦塵外史 六

「これから慌ただしくなろう。戦もつづくに違いない。あるいは志半ばで―」 「陛下」 無礼を承知で一歩詰め寄り、言葉を遮った。 叱責は、なかった。 「だから、そのまま忘れないでくれ。せめて、お前だけは」 夢半ばにして皇帝の孤独を味わった男と、皇帝で…

マッケンジーの山

「それはわかっているが、こうして家に抱きかかえていって愛を交わすほうがロマンチックだろう?」ウルフはメアリーに笑いかけた。 「今愛し合ったばかりよ」 「だから?」 これはよいものだった。差別の残る町で、周囲の人に恐れられているインディアンであ…

双界幻幽伝 宿敵は神出鬼没!

「もうすぐ来将軍が戻ってくるはずだ」 頭の上に置かれる、乾いた手のひら。 「それまでに絶対泣きやめ。ほかのやつに、そんな顔を見せるな。わかったか?」 いやー、楽しかった。ふたりの距離が少しずつ変わってることが見えてくるのは、良いものです。いい…

ソードアート・オンライン(8) アーリー・アンド・レイト

「このまま放置はできないわ。もし<県内PK技>みたいなものを誰かが発見したのだとすれば、早くその仕組みを突き止めて対抗手段を公表しないと大変なことになる」 「……俺とあんたの間じゃ珍しいけど、今回ばかりは無条件で同意する」 「なら、解決までちゃ…

新約 とある魔術の禁書目録(2)

「そいつらって……」 「そう、『ヤツら』さ」 バードウェイはそう呟く。 「ようやく本題に入ることができた訳だ。あの第三次世界大戦を経て、『ヤツら』は生まれた。世界の暗い所で、多くの者にとっては、その法則も分からない力を振るってな」 これまでのお…

無音の哀戀歌 〜さようなら、わたしの最愛〜

「処刑人の抱擁を受けることができるのは、同胞と、―死者のみだ」 これは切なかった。結ばれぬことを知りながら、それでも求めずにいられなかった思いに、胸が苦しくなる。良いものでした。→ 感想

薔薇のマリア(16) さよならはいわない

「大事にしてくれ」 「気をつけるわ」 「大事にさせてくれ」 「……そんなこと言われて、拒めるわけ、ないじゃない」 「拒まなくていい。拒ませはしない。うなずく以外の返事はいらない」 まさに最後の戦いと言わんばかりの戦争模様にドキドキ。思いを告げる者…